留まることを知らないクルマの電動化の波。それにともない、内燃機関主流の時代では馴染みのなかったクルマ用語が、これまた次から次へと登場してきている。そんな中「ちょっと乗り遅れたかもしれない」と不安を感じたあなたのために、ベーシックな電動化モデル関連用語の解説を10回に分けてお届けする。連載第2回は「回生ブレーキ」についてだ。千里の道も一歩から!なのである。

減速する時のエネルギーを回収するシステム

BEVやハイブリッドカーなどの電動車両特有の機能のひとつが回生ブレーキだ。従来のクルマは、ブレーキパッドを使って摩擦抵抗によって、速度を落としていた。この場合、クルマを動かしていた運動エネルギーは摩擦熱として大気中に放出されることになる。つまり、捨ててしまっていたのだ。その失ってしまう運動エネルギーを回収するのが回生するブレーキとなる。

具体的には、タイヤ&車軸に発電機をつなぎ、発電機を回す抵抗をブレーキとして利用する。ドライバーの操作方法としては、アクセルをオフにしたり、ブレーキを踏んだときに、発電機を作動させて、その発電によって発生するトルクをブレーキに利用するのだ。

どれだけのブレーキ力を発生できるかどうかは、発電機と、そこで生み出した電力を吸収する電池の性能に左右される。スタートから停止まで、ほぼすべてを回生ブレーキだけで賄えるようなセッティングも可能であるし、その逆も可能だ。また、電池が満充電されており、これ以上の電気を受けきれないときは、回生ブレーキが作動しないときもある。これを回生失効と呼ぶ。

画像: ポルシェのBEVであるタイカンは独自の回生システムを採用。アクセルペダルを緩めた際は「航続走行」を行い、ブレーキペダルを踏んで初めてエネルギーを「回収」する。

ポルシェのBEVであるタイカンは独自の回生システムを採用。アクセルペダルを緩めた際は「航続走行」を行い、ブレーキペダルを踏んで初めてエネルギーを「回収」する。

回生ブレーキを使うことができると、これまで捨てていた運動エネルギーの一部を電力として回収でき、その電力を再利用することで、燃費や電費を向上させることが可能となる。ハイブリッドカーの燃費の良さは、回生ブレーキを利用していることも大きな理由だ。

ただし、どんなクルマも必ず回生ブレーキだけでなく、旧来からあるブレーキパッドを使う摩擦ブレーキも併用している。そして、回生ブレーキと摩擦ブレーキという2つのブレーキの使い分けが、ブレーキング・フィーリングの違いとなる。BEVの場合、摩擦ブレーキ用にエンジンを利用するブレーキブースター(倍力装置)が使えないため、モーター駆動方式のブースターが使用される。このセッティングもクルマの開発者の腕の見せどころだ。(文:鈴木ケンイチ)

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