3つのモードを活用して走りを楽しむ
さて、前回に紹介したとおり、PHEVはEVと同じように電気モーターの力だけで走行できる。ここでは、これを「EV走行」と呼ぶことにする。
一般的に言って、ガソリンエンジンの力で走行するよりも発電所で効率的に生み出された電力を使ったほうが、CO2排出量は少ない。したがってPHEVの環境性能を最大限引き出すには、できるだけ外部充電した電力で走行することが重要となる。ボルボのT8ツインエンジンも「ピュア」モードでは積極的にEVで走行。バッテリーの電力を優先的に使用してCO2排出量削減に貢献できる。
「環境も大切だけれど、ときには力強い走りも楽しみたい」そんなわがままをかなえてくれるのが「ハイブリッド」モードだ。エンジンと電気モーターを効率よく利用。動力性能と環境性能を高いレベルでバランスできる。
また、ときにはワインディングロードでスポーツドライビングを満喫したいこともあるだろう。そんなときにお勧めなのが「パワー」モードだ。このモードでは、ガソリンエンジンが常にかかった状態になるので、いつでもレスポンス良く、爽快な走りを満喫できる。
これら3つのモードを活用するとどんな走りが楽しめるのか? XC90、V90、XC60という3台のT8ツインエンジンとともに一泊二日の小旅行に出かけてきたので、その様子を報告しよう。
最近は全国各地で充電施設を備えたホテルが増えている。私たちも宿泊先で夜間のうちに3台を充電。翌朝はフルチャージした状態でテストを開始した。
ボルボのカタログには、国土交通省の定める方法によって計測したEV走行距離が示されている。これは一充電でEV走行できる航続距離を示したもので、XC90は40.4km、V90は45.0km、XC60は15.4kmとなっている。
いっぽうEV走行であと何km走れるかは車内にも表示される。満充電後にそれぞれの値を確認したところ、XC90は40km、V90は45km、XC60は40kmと表示されていた。これはピュアモードの場合で、デフォルトのハイブリッドモードだとそれぞれ35km、40km、35kmと表示される。カタログ値と必ずしもマッチしていないのは、直前の走行状態が勘案されているためなのだろう。
まずはピュアモードで走り始めたが、地方の一般道ではエンジンはまるでかからない。5kmほど走行したところでハイブリッドモードに切り替えたが結果は同じ。ここまで10kmほどを走ってもガソリンを一滴も消費しなかったため、オンボードコンピュータには燃費が無限大だったことを示す「−」が表示されていた。
続いてパワーモードを選択するとエンジンが始動したが、T8ツインエンジンは遮音性が優れているため、エンジン音はほとんど車内に侵入しない。ここでも5kmほど走ったところで燃費を確認すると、XC90が7.1km/L、V90が9.0km/L、XC60が6.6km/Lと表示されていた。
ここでハイブリッドモードに切り替えたところ、V90とXC60は26kmほど走ったところで残充電がゼロとなってエンジンが始動。XC90はその4kmほど手前でバッテリーを使い果たした。ただし、パワーモードではほぼ電力を使用しなかったので、その分を差し引くと、いずれも20km前後はEV走行できたことになる。