ライフスタイルに合わせてスマートに充電したい
ここまでのところ、EV航続距離も燃費も決して良好なデータではないが、それは走行ルートが登り勾配の連続だったためだ。もっとも、ここで費やしたエネルギーは、あとで意外な形で回収できたのだが、これを明らかにするために、私たちはこんな実験も行った。
まず箱根の大観山まで上り、そこから箱根ターンパイクで「下山」。この間に回生ブレーキでどこまでバッテリーを充電できるかを試したのだ。ちなみにこの区間の距離は13.6km。なお、走行モードはいずれもハイブリッドを選択し、ギアボックスはXC60がDレンジ、XC90がBレンジ、V90はBレンジに加えエンジンで積極的にバッテリーを充電する「チャージモード」を選んだ。この結果、V90はなんと19km分の電力を回収。XC90は17km、XC60も15kmの電力を取り戻した。
続いてピュアモードで高速道路を走行すると、V90はその後の約25kmを電気モーターだけで走りきった。残る2台もこれと前後してバッテリーを使い果たしたが、完全に充電された状態でなくとも、満充電で走り始めた午前中に匹敵するEV航続距離を示したのは、それだけ勾配が与える影響が大きいことの証明といえる。
バッテリーを使い果たした後はピュアモードで編集部まで帰還。この間、およそ18kmを走行してXC90の平均燃費は13.5km/L、V90は16.1km/L、XC60は20.8km/Lをマークした。いずれも驚異的なデータと言っていい。
繰り返しになるが、CO2排出量をもっとも削減できるのは外部充電した電力でのEV走行である。そのためには、自宅に充電設備を設けたり、公共の充電施設を積極的に利用するのがお勧め。最近は駐車場やショッピングセンターにも充電施設が用意されているので、使わない手はないだろう。
たとえば、満充電状態で自宅を出かけ、最初は電気モーターで走行。バッテリーを使い切ったらハイブリッドモードで効率よく走行し、帰宅前にはチャージモードでバッテリーを充電。エンジンを停めて静かに自宅に戻る、というような使い方もできるのだ。
そういう意味では、PHEVは自分のライフスタイルに合った「使いこなし方」を探す楽しさも満喫できる。T8ツインエンジンなら、電動化自動車と暮らす魅力が、ひと足お先に体験できる。(文:大谷達也/写真:永元秀和)