ボルボ XC90やV90などに搭載されているPHEV「T8」のツインエンジンは、さまざまシチュエーションで、走行モードを選択することで多彩な使いこなし方ができる。ここでは、その幅広い楽しみ方を、一泊二日のロングランの中で紹介しよう。(以下の記事は、Motor Magazine 2018年8月号より)

ライフスタイルに合わせてスマートに充電したい

画像: ボルボ初のPHEVが、フラッグシップSUVのXC90 T8 ツインエンジンだ。

ボルボ初のPHEVが、フラッグシップSUVのXC90 T8 ツインエンジンだ。

ここまでのところ、EV航続距離も燃費も決して良好なデータではないが、それは走行ルートが登り勾配の連続だったためだ。もっとも、ここで費やしたエネルギーは、あとで意外な形で回収できたのだが、これを明らかにするために、私たちはこんな実験も行った。

まず箱根の大観山まで上り、そこから箱根ターンパイクで「下山」。この間に回生ブレーキでどこまでバッテリーを充電できるかを試したのだ。ちなみにこの区間の距離は13.6km。なお、走行モードはいずれもハイブリッドを選択し、ギアボックスはXC60がDレンジ、XC90がBレンジ、V90はBレンジに加えエンジンで積極的にバッテリーを充電する「チャージモード」を選んだ。この結果、V90はなんと19km分の電力を回収。XC90は17km、XC60も15kmの電力を取り戻した。

続いてピュアモードで高速道路を走行すると、V90はその後の約25kmを電気モーターだけで走りきった。残る2台もこれと前後してバッテリーを使い果たしたが、完全に充電された状態でなくとも、満充電で走り始めた午前中に匹敵するEV航続距離を示したのは、それだけ勾配が与える影響が大きいことの証明といえる。

バッテリーを使い果たした後はピュアモードで編集部まで帰還。この間、およそ18kmを走行してXC90の平均燃費は13.5km/L、V90は16.1km/L、XC60は20.8km/Lをマークした。いずれも驚異的なデータと言っていい。

画像: ミディアムサイズSUVのXC60にも、T8 ツインエンジンが設定された。

ミディアムサイズSUVのXC60にも、T8 ツインエンジンが設定された。

繰り返しになるが、CO2排出量をもっとも削減できるのは外部充電した電力でのEV走行である。そのためには、自宅に充電設備を設けたり、公共の充電施設を積極的に利用するのがお勧め。最近は駐車場やショッピングセンターにも充電施設が用意されているので、使わない手はないだろう。

たとえば、満充電状態で自宅を出かけ、最初は電気モーターで走行。バッテリーを使い切ったらハイブリッドモードで効率よく走行し、帰宅前にはチャージモードでバッテリーを充電。エンジンを停めて静かに自宅に戻る、というような使い方もできるのだ。

そういう意味では、PHEVは自分のライフスタイルに合った「使いこなし方」を探す楽しさも満喫できる。T8ツインエンジンなら、電動化自動車と暮らす魅力が、ひと足お先に体験できる。(文:大谷達也/写真:永元秀和)

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