世界的にもっとも売れているジャンルへと成長したSUV。中でも大型SUVを選ぶにあたって、気になる点はその動力性能やドライバビリティだろう。ここでは48Vマイルドハイブリッドの新しいパワーユニットが搭載されたボルボ XC90に注目し、ディーゼルターボを搭載した3代目新型メルセデス・ベンツGLS、自然吸気V6ガソリンエンジンのキャデラックXT6を加えた3台の3列SUVを揃えて行われたテストレポートを振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2020年8月号より)

キャデラックの最新モードが注ぎ込まれた「XT6」

そして最後がキャデラックのXT6。メルセデス・ベンツでたとえるならGLEと似たサイズ感やサードシートを有するEセグメントに相当し、スタイリングやインテリアにもキャデラックの最新モードが注ぎ込まれている。

このクルマに搭載されるエンジンは、XT5と同じ314ps/368Nmというスペックの自然吸気3.6L V型6気筒。ダウンサイズに走るのではなく、気筒休止システムや9速AT、手軽に2WD/4WDが選べるインテリジェントAWDシステムなどで効率を上げようという目論見だ。

そしてこのエンジンの回転フィールがなかなか良い。吹け上がりはけっこう鋭いし、回転が上がるにつれ活発になる特性や、金属音を増していくエキゾースト音も、ターボエンジンに慣らされた身にとっては新鮮だった。駆動がFWDとなるツーリングモードでややラフなアクセルワークを行うと、フロントタイヤが一瞬暴れるほどの元気の良さも備えていた。

もちろんそんな走りを続けていると、最新のディーゼルや電動化で効率を高めたハイブリッドには燃費面で及ばないだろうが、100km/h巡航では1500rpmでユルユルと回っているから、高速燃費はそれなりに伸びると思う。ただひとつ、XT6で残念なのが左ハンドルしか選べないこと。これを除けば全体の質感といい、コストバリューといい、欧州勢のSUVに十分対抗しうる実力を備えていると思う。

それにしても今回の3台、パワートレーンの違いが明確で、それぞれが独自の持ち味を備えており、乗り比べが実に楽しかった。(文:石川芳雄/写真:永元秀和)

画像: キャデラックXT6 プラチナムは自然吸気3.6L V型6気筒エンジンを搭載。吹け上がりのいいエンジン特性、気筒休止システム、9速AT、インテリジェントAWDシステムなどで効率のいい走りを狙う。

キャデラックXT6 プラチナムは自然吸気3.6L V型6気筒エンジンを搭載。吹け上がりのいいエンジン特性、気筒休止システム、9速AT、インテリジェントAWDシステムなどで効率のいい走りを狙う。

ボルボ XC90 B5 AWD ノルディックエディション 主要諸元

●全長×全幅×全高:4950×1960×1775mm
●ホイールベース:2985mm
●車両重量:2120kg
●エンジン:直4DOHCターボ+モーター
●排気量:1968cc
●最高出力:184kW(250ps)/5400-5700rpm
●最大トルク:350Nm/1800-4800rpm
●モーター最高出力:10kW/3000rpm
●モーター最大トルク:40Nm/2250rpm
●トランスミッション:8速AT
●駆動方式:4WD
●燃料・タンク容量:プレミム・71L
●WLTCモード燃費:10.9km/L
●タイヤサイズ:275/45R20
●車両価格:879万円(2020年当時)

メルセデス・ベンツ GLS 400d 4マティック 主要諸元

●全長×全幅×全高:5210×1955×1825mm
●ホイールベース:3135mm
●車両重量:2540kg
●エンジン:直6DOHCディーゼルターボ
●排気量:2924cc
●最高出力:243kW(330ps)/3600-4200rpm
●最大トルク:700Nm/1200-3200rpm
●トランスミッション:9速AT
●駆動方式:4WD
●燃料・タンク容量:軽油・90L
●WLTCモード燃費:10.9km/L
●タイヤサイズ:275/50R20
●車両価格:1263万円(2020年当時)

キャデラック XT6 プラチナム 主要諸元

●全長×全幅×全高:5060×1960×1775mm
●ホイールベース:2860mm
●車両重量:2110kg
●エンジン:V6DOHC
●排気量:3649cc
●最高出力:231kW(314ps)/6700rpm
●最大トルク:368Nm/5000rpm
●トランスミッション:9速AT
●駆動方式:4WD
●燃料・タンク容量:プレミム・83L
●WLTCモード燃費:-
●タイヤサイズ:235/55R20
●車両価格:870万円(2020年当時)

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