世界的にもっとも売れているジャンルへと成長したSUV。中でも大型SUVを選ぶにあたって、気になる点はその動力性能やドライバビリティだろう。ここでは48Vマイルドハイブリッドの新しいパワーユニットが搭載されたボルボ XC90に注目し、ディーゼルターボを搭載した3代目新型メルセデス・ベンツGLS、自然吸気V6ガソリンエンジンのキャデラックXT6を加えた3台の3列SUVを揃えて行われたテストレポートを振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2020年8月号より)

今後ボルボの標準となる最新MHEV「XC90 B5」

一方、ボルボXC90にこの春に追加されたのは、B5と呼ばれる新パワーユニットだ。これは48Vシステムを活用したマイルドハイブリッド。2019年以降に発表するすべての新型車を電動化するという宣言に沿って開発された。

クランクシャフトにボルボがISGM(インテグレーテッド スターター ジェネレーター モジュール)と呼ぶスタータージェネレーターを繋ぎ、モーターアシストで燃費を向上させたり、スムーズなエンジン再始動を実現したり、回生を含める発電効率を上げるというのが、最近ドイツ車でも数を増やしているマイルドハイブリッドの狙い。もちろんB5も考え方は同じだが、環境性能の向上に熱心なボルボの作品だけにより数多くのアイディアが盛り込まれている。

まず気筒休止システムのCDA(シリンダー ディ アクチベーション)を採用したのがユニーク。ブレーキシステムもPHEVと同じくバイワイヤ式に改めて回生効率を高めている。電源の48V化とCDAの搭載に伴いジェネレーション3と呼ばれる2L直4のDrive‐Eユニットは内部構造をはじめターボや排気系など多岐にわたる改良が行われた。ちなみにB5のエンジン単体出力は250ps/350Nm。これに10kW(14ps弱)/40NmのISGM出力が部分的に加わるわけだ。

このB5の登場により、これまであったピュアエンジンモデルのT6は近くラインアップからなくなり、XC90のパワーユニットはディーゼルのD5、プラグインハイブリッドのT8ツインエンジンとの3機種になる。

そのB5のドライブフィールだが、駆動をメインで司るのはエンジンで、ISGMはあくまでアシスト。したがってそのドライブフィールはT5によく似ている。ただ、注意していると1000〜2500rpmあたりのトルクが増強されているとわかる。これこそモーターのアシスト。出足から力強いため、2120kgの車重でも滑らかな走り出しが味わえる。

停止すると即座にアイドリングストップするが、通常のアイドルストップがブレーキペダルから足を離すと即座に再始動してしばらくはアイドリング状態になるのに対し、B5はブレーキペダルを踏み直せば何度でもストップ状態に入る。WLTCモード燃費は10.9km/Lだが、今回の試乗では11.4km/Lを記録した。

画像: ボルボXC90 B5 AWD ノルディックエディション。大型で車重の大きいSUVでは、いかにクリーンに効率良く走らせるかが重要となってくる。XC90 B5は2L直4DOHCガソリンターボ+48Vマイルドハイブリッドシステムのパワーユニットを搭載。

ボルボXC90 B5 AWD ノルディックエディション。大型で車重の大きいSUVでは、いかにクリーンに効率良く走らせるかが重要となってくる。XC90 B5は2L直4DOHCガソリンターボ+48Vマイルドハイブリッドシステムのパワーユニットを搭載。

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