ターボでパワーアップ。足回り、ブレーキ系も強化!
多くのスカイラインファンに歓迎され、また新たなファンを生んだ2000RS。当時、そのライバルとしてトヨタセリカ1800GT-Tが存在した。セリカに搭載されたエンジンは1.8L直4DOHCターボの3T-GTEU型だ。1気筒あたり2バルブながら0.52kg/cm3という高い最大過給圧で160ps/21kgmのパワーを誇った。
当時のホリデーオート誌の比較テストによるとスカイライン2000RSが動力性能に劣っていたということもなく、最高速ではセリカGT-Tの190.98km/hに対してスカイライン2000RSが192.00km/hと上回り、0→400mは、セリカが15秒85、スカイラインが16秒00と、ほぼ互角だ。この辺はスカイラインの200ccの余裕が効いているのだろう。
ただ、それで気が済まないのが当時の日産であり、スカイラインファンであったのも事実。先代のL20型エンジンの旧弊さをトヨタのDOHCに揶揄された意趣返しという面もあったのかもしれない。1983年2月、日産はスカイライン2000ターボRSを市場に投入した。
日本初のターボチャージャー付き4バルブDOHC機構を備えたエンジンはFJ20E-T型と名付けられた。最高出力は190ps/6400rpm、最大トルク23.0kgm/4800rpmで、当時としては出色ともいえる高性能を実現した。
ターボによって増大された吸気量に対し空燃比を合わせるべくインジェクターの容量も増大した。これは旧来のキャブレターで調整が難しいところで、電子制御インジェクションのECCSが活きたといえる。また、過給のためタービンに送られる排出ガスの排気干渉を減少させるためにエキゾーストマニホールドのデュアル化も図った。
このようにターボの装着とセッティングの最適化により、当面のライバルとされたセリカ1800GT-Tを動力性能で大きく引き離すことになった。
特筆されるのが燃費性能の良さで、運動部のフリクション低減、E・D・F(電子制御燃料カット)システム、ECCSによる燃料噴射のコントロールにより10モード燃費は10.2km/Lをマークしている。これは自然吸気のFJ20Eの10.0km/Lを凌ぐ。
動力性能の向上に伴いシャシにもチューニングが施された。まず、前後のスプリングレートを上げ、ショックアブソーバーの減衰力もそれに合わせて強化した。また、フットセレクター(減衰力調整機構)の「ソフト」と「ハード」の差異をRSに比べてより明確化し、グランドツアラーとしての快適さを担保している。
もちろん、それに見合った確実な制動性能が得られるよう、前後に大型のディスクブレーキを採用した。フロントブレーキパッドは耐摩耗性および連続制動性に優れたセミメタリック製とし、制動力の強化とともに耐フェード性能の向上が図られた。ブレーキサイズの大型化に伴い、マスターシリンダーやホイールシリンダーの内径拡大も行い、ペダルストロークが約20%減少し、ブレーキの剛性感も向上した。
これにより、「2000ターボRS」は旧来の「GT-R」をも完全に凌駕したと言えるだろう。
日産 スカイライン2000ターボRS 2ドアハードトップ 主要諸元
●全長×全幅×全高:4595×1665×1360mm
●ホイールベース:2615mm
●車両重量:1175kg
●エンジン:直4DOHC+ターボ
●排気量:1990cc
●最高出力:190ps/6400rpm
●最大トルク:23.0kgm/4800rpm
●トランスミッション:5速MT
●駆動方式:FR
●10モード燃費:10.2km/L
●車両価格:235万6000円(東京)
※1983年2月時点での仕様
日産 スカイライン2000ターボRS 4ドアセダン主要諸元
●全長×全幅×全高:4595×1665×1385mm
●ホイールベース:2615mm
●車両重量:1165kg
●エンジン:直4DOHC+ターボ
●排気量:1990cc
●最高出力:190ps/6400rpm
●最大トルク:23.0kgm/4800rpm
●トランスミッション:5速MT
●駆動方式:FR
●10モード燃費:10.2km/L
●車両価格:230万1000円(東京)
※1983年2月時点での仕様
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