2020年10月にスバル レヴォーグがモデルチェンジされてから、8カ月が過ぎた。2代目となる新型レヴォーグはミドルクラスステーションワゴンというコンセプトを踏襲して登場、2020-2021日本カー・オブ・ザ・イヤー(COTY)を受賞するなど、専門家の評価の高い車だが、果たして販売状況はどうなのだろうか。

1、スバル最新技術と装備満載の全面刷新

新型レヴォーグはプラットフォームをSGPに全面刷新し、低重心で操縦安定性が高い素性を持つ。視界が広く、前方の見切りもよく、安全運転しやすい設計だ。エンジンは新開発のCB18型、1.8L 水平対向4気筒ターボエンジンを採用し、最高出力130kW(177ps)/5200-5600rpm、最大トルク300Nm/1600-3600rpmを発揮する。燃料はレギュラーガソリン仕様だ。

アイサイトは人工衛星と連携するアイサイトXに進化するなど、スバルの最新技術も満載だ。前述したドライブモードセレクトも新開発で、STIスポーツに標準搭載される。スバルファンのみならず自動車好きの目を惹く充実した内容のモデルチェンジで、注目を集めていると考えられる。

画像: 新型レヴォーグに搭載される新開発のCB18型1.8L 水平対向4気筒ターボエンジン。従来のFB型よりコンパクトに設計された。これからのスバルの主力エンジンになることだろう。

新型レヴォーグに搭載される新開発のCB18型1.8L 水平対向4気筒ターボエンジン。従来のFB型よりコンパクトに設計された。これからのスバルの主力エンジンになることだろう。

2、正統派ステーションワゴンとして国産の同じクラスに敵なし

新型レヴォーグは排気量が1.8Lで、全長4755mmというボディサイズから欧州流にいえばDセグメントに相当する。日本流にいえばミドルクラスだ。近年日本でステーションワゴンへの関心が薄れ、このクラスだけでなくそもそものラインアップが少ない。つまり、真っ向勝負できるライバル車がいないのだ。

トヨタ カローラツーリングやマツダ6ワゴンをライバルとして思い浮かべる人もいると思うが、ボディサイズや車両価格、設計年度などの理由から直接競合することは少ない。いずれも、最新鋭の新型レヴォーグのライバルとは言えないだろう。

輸入ブランドまで選択肢を広げると、アウディ A4アバントやボルボ V60、BMW 3シリーズツーリング、メルセデス・ベンツ Cクラスステーションワゴンなど、ライバルは数多い。しかし、車両価格が軒並み100万円以上も高価だ。ライバルとして取り上げられるのは、むしろ望むところだろう。

新型スバル レヴォーグが選ばれる理由として、300万円台のミドルクラスステーションワゴンでは、唯一無二の存在であることも大きい。

高品質かつ最新鋭、完成度が高く欠点が少ない

新型レヴォーグは操縦安定性の高さに貢献するSGPと、日常域でパワフルな新開発水平対向4気筒ターボを採用。さらに人工衛星と連携する最新鋭のアイサイトXも搭載する。その上、スバル自慢の4WDシステムは長年熟成が重ねられ完成度が高い。自動車のメカニズムとして、燃費以外の弱点が見当たらないのだ。

たとえば、レヴォーグ STIスポーツの内装はインパネやトリムに本革が張られ高級感があるし、シートの出来のよく、腰をしっかりとサポートしてくれる。気になったのは、内装の一部パネルがプラスチッキーで車両価格を考えると少々残念に思えたことと、シートに採用される本革は衣服の素材によっては滑りやすいのではと感じた程度だった。そんな些細な点しかネガティブな部分が見つからなかった。

画像: 高級感とスポーティーさが両立したインテリア。視界が広く、インフォテイメントシステムのモニターが前方視界の邪魔にならない。

高級感とスポーティーさが両立したインテリア。視界が広く、インフォテイメントシステムのモニターが前方視界の邪魔にならない。

先代からの買い替えはまだ続く上に、輸入車ブランドからの移行も

新型レヴォーグのここまでの販売はすこぶる好調だが、これは新車効果によるところも大きいと思われる。というのも、先代モデルは6年間に渡って製造された長寿モデルで、モデルチェンジ直前の1年は1000台/月ペースの販売に落ち込んだ。逆にいえば新型を待ち望んでいた顧客が多いともいえ、その結果、300%以上もの前年同月比となったと考えられる。

またレヴォーグがレガシィツーリングワゴンの後継車ということで、買い替え母体としてレガシィユーザーも期待できる。新型レヴォーグの荷室容量は5代目レガシィツーリングワゴンと同等。サブトランクを含めると、5代目レガシィツーリングワゴンの荷室容量を上回る。先代レヴォーグやレガシィツーリングワゴンからの買い替え需要はまだまだ続くことだろう。

サイズ感と価格では真っ向から対決するライバルが不在ということで、新型スバルレヴォーグの人気はまだ当分続きそうだ。(文:猪俣義久)

スバル レヴォーグ ラインアップ

GT:310万2000円
GT EX:348万7000円
GT-H:332万2000円
GT-H EX:370万7000円
STI Sport:370万7000円
STI Sport EX:409万2000円
*いずれもパワートレーンは、1.8L水平対向4気筒ターボ+CVT/4WD

スバル レヴォーグ STIスポーツ EX 主要諸元

●全長×全幅×全高:4755×1795×1500mm*
●ホイールベース:2670mm
●車両重量:1580kg
●エンジン:直4 DOHCターボ
●総排気量:1795cc
●最高出力:130kW(177ps)/5200-5800rpm
●最大トルク:300Nm/1600-3600rpm
●トランスミッション:CVT
●駆動方式:4WD
●燃料・タンク容量:レギュラー・63L
●WLTCモード燃費:13.6km/L
●タイヤサイズ:225/45R18
*ルーフアンテナを含む値。ルーフ高では1480mm。

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