販売好調が伝わるレヴォーグの実に半分近くを占めるのが、トップグレードの「STIスポーツ」である。「走り」にこだわった新しいブランドが意図するものは果たして何か。そのエッセンスを開発のキーマンであり、スバルテクニカインターナショナルの開発副本部長 高津益夫氏に訊いた。聞き手はMotor Magazine編集長 千葉知充。(Motor Magazine2021年8月号より)
画像: 高津 益夫 スバルテクニカインターナショナル株式会社 開発副本部長 1983年4月:富士重工業株式会社入社。4代目レガシィのシャシ全般の設計主査を務めたほか一貫してシャシ〜足まわり関連の開発に携わる。 2012年より商品企画本部にて、WRXの開発総責任者を務める。2016年にスバルテクニカインターナショナルに転籍し、商品開発部長としてSTIコンプリートカーの企画開発をPGMとして推進。2019年に開発副本部長(商品開発部長と車両実験部長を兼務)、2021年より現職。

高津 益夫
スバルテクニカインターナショナル株式会社 開発副本部長
1983年4月:富士重工業株式会社入社。4代目レガシィのシャシ全般の設計主査を務めたほか一貫してシャシ〜足まわり関連の開発に携わる。 2012年より商品企画本部にて、WRXの開発総責任者を務める。2016年にスバルテクニカインターナショナルに転籍し、商品開発部長としてSTIコンプリートカーの企画開発をPGMとして推進。2019年に開発副本部長(商品開発部長と車両実験部長を兼務)、2021年より現職。

STIコンプリートカーとSTIスポーツの違いは?

千葉 まずはSTIスポーツ誕生の経緯を教えていただけますか。

高津 スバルテクニカインターナショナル株式会社(以下、STI)は、モータースポーツを通じて、スバルを世界一のブランドに成長させることを目的として1988年に設立されました。そこからモータースポーツに直結した商品やコンプリートカーの開発に携わってきました。コンプリートカーというのは、量産ラインからベース車を抜き出して作る基本的にハンドメイド的なクルマなので、量産ができません。結果的に価格も高価になってしまいますし、生産台数も限られます。もっと一般のお客様にSTIの商品をお届けしたい。それによってスバルのブランド価値も上げていきたいという思いが、STIスポーツの誕生につながっていきました。

千葉 STIコンプリートカーと、STIスポーツの違いはどこにあるのでしょう。

高津 コンプリートカーはあくまでSTIが企画して開発するもので、あらゆるところに手を加えています。一方、STIスポーツはスバルが企画を提案して、STIが走りの味付けを担当する量産カタログモデルであり、イメージを牽引するという位置づけです。スバルの生産ラインで組み立てられることが前提のクルマなので、主にサスペンションを中心に手を加えています。

千葉 スバル側とのすり合わせが大変なのではありませんか。

高津 それはありません。そもそも両社がめざしている方向性は同じですから。STIにとっていいクルマは、スバルにとってもいいクルマなのです。

画像: スバル車のポテンシャルを最大限に引き出したSTIコンプリートカーは、STIが企画開発から架装までを行うため、生産台数は限られ価格もそれなりになってしまう(写真はS209)。

スバル車のポテンシャルを最大限に引き出したSTIコンプリートカーは、STIが企画開発から架装までを行うため、生産台数は限られ価格もそれなりになってしまう(写真はS209)。

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