ニューモデルの登場は、多かれ少なかれ心ときめくもの。だが2代目ボルボ XC90のフルモデルチェンジは中でも、そうとうセンセーショナルだったように思う。その時感じたときめきは、未だに色あせることがない。

スカンジナビアン デザインと高いプレミアム性との幸せな融合

画像: ウッドとレザー、そしてクリスタルを組み合わせることで、持つ喜びを高めてくれる。(XC90 初期のもの)

ウッドとレザー、そしてクリスタルを組み合わせることで、持つ喜びを高めてくれる。(XC90 初期のもの)

ペイジ氏の持つ「豊かな所有体験」に対する価値観は、ジャガーやロールスロイス、ベントレーといった英国発の超プレミアムモデルのインテリア・デザインに携わってきたことで育まれた感性に基づくものであることは、間違いないだろう。

とくにロールスロイス時代にはビスポーク部門で王室向けの車両を手掛け、さらにベントレーではコンチネンタルGTなどやはり新しい時代の感性を具現化した新型車のインテリアデザインを担当していたというから、もともと人並外れた才能の持ち主だったわけだ。

興味深いのは英国生まれのそんなペイジ氏が、スウェーデンに居を移し生活する中で「スカンジナビアン デザイン」の息吹を身に着け、見事にそれを体現してきたところだろう。

画像: 2010年代以降、ボルボがプレミアムカー・ブランドとして発展する礎となったのは、才気あふれる3人のデザイナーだった。右は、当時のチーフ・デザイン・オフィサーを務めたトーマス・インゲンラート氏、中央がやはり当時のエクステリア・デザイン責任者のマクシミリアン・ミッソーニ氏、そして左がロビン・ペイジ氏である。

2010年代以降、ボルボがプレミアムカー・ブランドとして発展する礎となったのは、才気あふれる3人のデザイナーだった。右は、当時のチーフ・デザイン・オフィサーを務めたトーマス・インゲンラート氏、中央がやはり当時のエクステリア・デザイン責任者のマクシミリアン・ミッソーニ氏、そして左がロビン・ペイジ氏である。

一般的にスカンジナビアン デザインの本質は、色鮮やかな色使い、シンプルな線使い、自然由来のアースカラーを多用しながら、機能性を重視している点にあるという。持っているものを長く使う耐久性も、その特徴として含まれる。ペイジ氏自身はそうした要素を合わせて「非常に高いクオリティ オブ ライフ」と表現している。

ある意味、生活レベルとしては突出した「クオリティ」が求められるクルマづりに傾注し続けてきた人物が、より生活に密着した世界観の中にあっても見事な価値を表現している。それが現在のブランド全体に共通するクオリティを磨き、高めてきた。そうしたデザイン性をアイコン化する流れが生まれたことこそが、ボルボにとってはまさに「僥倖だった」と言うべきだろうか。

誰も知らなかった「豊かな所有体験」が、近い将来楽しめるかも。

画像: ボルボ コンセプト リチャージのインテリア。一部ではXC90後継車のデザインスタディとの噂もある。

ボルボ コンセプト リチャージのインテリア。一部ではXC90後継車のデザインスタディとの噂もある。

2021年6月末、ボルボはピュアEVの時代に対するデザインマニュフェストとして、新たに「ボルボ コンセプト リチャージ」を発表した。そこには「ボルボのデザインDNAの豊かなルーツが現代的かつ斬新な手法で受けつがれている」と、ペイジ氏は語っている。

最近ではXC90を始めとするボルボのさまざまなモデルに乗るたびに、ペイジ氏が生み出す新しいボルボのデザイン哲学がどんな形で量産モデルに取り入れられていくのだろうか、と勝手に想像している。そして、新時代にもたらされるであろう「豊かな所有体験」に思いを馳せ、ときめいたりもするのだ。(文:Motor Magazine編集部 神原 久)

This article is a sponsored article by
''.