フォルクスワーゲン XL1(2011年:コンセプトカー)
フォルクスワーゲンから、驚愕の低燃費を誇るコンセプトモデル「XL1」が、この(編集部註:2011年)1月末に開催されたカタール モーターショーでワールドプレミアされた。
コンセプトカーとはいえ、空調やオーディオ、ナビゲーションシステムといった「豪華装備」を採用した上で、「単なるショーのための作品ではなく、現状に近いスペックのままでの量販化を視野に入れた現実性の高いモデル」というのが大きな謳い文句。
そして、その注目の燃費データは0.9L/100km。日本式に換算すれば111.1km/Lという数字になるのだから、これがいかに「ものすごい燃費」かが理解できるというものだろう。しかも、XL1のそれは最高速度が120km/h、測定中の平均速度も33.6km/hに達するNEDC測定法という、より現実に即した方法によるものなのだ。
そんなXL1に、中東カタールまで出向いて乗ってきた。ちなみに、現在(編集部註:2011年)のフォルクスワーゲン株の17%はカタールの政府系ファンドであるカタール投資庁の保有によるもの。この地でお披露目され、こうして国際試乗会が開催されるのは、そんな理由からと考えられる。
イベント会場であるホテルのエントランスで対面となったXL1は、まずはそのコンパクトさが何とも印象的だった。全長3888×全幅1665mmというサイズは、いわゆるコンパクトカーとして常識的と言える大きさ。だが、圧巻なのはわずかに1156mmしかない全高で「ランボルギーニ ガヤルドスパイダーとほぼ同じ」と自らのグループ内のモデルを利用して紹介される背の低さは、キャビン後方が強く絞られた空力モデル特有のボディシェイプとあいまり、現在のところは世界に1台というこのモデルのルックスを実際以上に小さく見せるのだ。
48psの最高出力と120Nmのトルクを発する800ccの2気筒ターボディーゼル エンジンと20kWのモーター、そしてフォルクスワーゲン得意の7速DSG(DCT)から成るプラグインハイブリッドシステムをシート背後に搭載するというレイアウトからリアウインドーは設けられず、「後退時の安全性は超音波ソナーで対応の予定」という。
フォルクスワーゲンがパテントを持つ低コスト技術を用いて製造するCFRP製のボディ骨格やアウターパネル、ポリカーボネート製のサイドウインドーや薄型ウインドシールドの採用などで達成された795kgという車両重量は、スズキ アルトやダイハツ ミラといった軽自動車並みに軽い。