「温故知新」の逆というわけではないが、最新のプジョー車に乗りながら、古(いにしえ)のプジョー車に思いを馳せてみたい。今回は、最新のプジョー 2008に乗りながら、プジョー SUVのルーツ的な存在のクルマについて考えてみたい。(タイトル写真は、上が206SW、下が現行型の2008)

プジョーがSUVに積極的でなかった理由とは

画像: 初代2008は、ステーションワゴンとSUVのちょうど中間のような成り立ちだった。

初代2008は、ステーションワゴンとSUVのちょうど中間のような成り立ちだった。

SUVらしさを強めた現行型と違い、2013年に発表された従来型の初代2008はクロスオーバーと呼ぶにふさわしいモデルだった。208の派生バージョンという雰囲気を残しており、SUVになるのを遠慮していたようなイメージがあった。プジョーがSUVカテゴリーへと本格的に進出したのはわりと最近で、現行の2代目3008/5008(日本発売:2017年)からといえるだろう。それ以前のSUVは、三菱からのOEMモデルに頼っていた。

なぜプジョーはSUVに対して客観的な立場をとっていたのか、その理由を考えてみた。必ずしもSUVとは関係ないかもしれないが、フランスでは早くから舗装路が普及していたこともひとつあるかもしれない。たとえば全仏ラリー選手権は、全戦ターマック(舗装路)で開催される。山間部のスペシャルステージが舗装路だけで成り立つ伝統が古くからあったわけだ。もちろん未舗装路のラリーもあるのだが、マイナーカテゴリーに位置付けられている。

フランスには未舗装の農道もある。こうした道を走るモデルとして、過去にシトロエン 2CVやルノー 4が開発され、派生モデルも大量生産されてきた歴史があり、これらがフランス流のSUVだったといえなくもない。一方のプジョーはそういったカテゴリーに興味を示さなかったこともあり、乗用車の保守本流を歩んできたメーカーだといえる。

別の見方をすれば、「アメリカの影響を受けなかった」とも言える。SUVというカテゴリーはアメリカで育ったもので、日本はその動向に早くから影響されてきた。しかしフランスはそうでもなかった。独自の文化を好む傾向のあったフランスでは、独自のクルマ社会を育んできたわけで、これはヨーロッパ全般にもいえる傾向だ。

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