「10年ひと昔」とはよく言うが、およそ10年前のクルマは環境や安全を重視する傾向が強まっていた。そんな時代のニューモデル試乗記を当時の記事と写真で紹介していこう。今回は、コルベット、マスタング、そしてカマロという、アメリカを代表する3台のスポーツクーペを乗り比べてみた。

シボレー コルベット ZR1(2011年)

スタイリッシュな2ドアクーペのボディに大排気量のV8エンジンを搭載した、アメリカン マッスルのスポーツクーペ。まずは、6代目となるシボレー コルベットに限定モデルで登場したZR1から。

画像: ルーフやフェンダーなどはカーボン製。ブレーキもブレンボ社製のカーボンセラミックを採用している。

ルーフやフェンダーなどはカーボン製。ブレーキもブレンボ社製のカーボンセラミックを採用している。

いきなり試乗してのファーストインプレッションから報告してしまおう。その加速は、まるで何度も何度もロケットを打ち上げているような気分だった。発進直後の、低速からのロケット加速。60km/hくらいからのロケット加速。そして80km/hを超えてからも、まだまだ余裕のロケット加速。やはり日本の公道上では、コルベット ZR-1の本性を探ることは不可能なようだ。

コルベットの究極的なモデル、ZR1はチーフエンジニアをして「コルベット究極の進化形」と言わしめるスーパー パフォーマンスを秘めている。カーボンファイバーを多用した超軽量なボディに、6.2LのV8(しかも、いまなおOHVのままだ!)にスーパーチャージャーを組み合わせて、647psの最高出力と819Nmの最大トルクを発揮する、まさにモンスターだ。

だが、そのエクステリアは、マッチョなムキムキ感をそれほど匂わせない。ワイドフェンダーやリアウイング、それにボディサイドのエアベントなど、普通のコルベットとは違っていることはわかるのだが、それでも全体的な雰囲気は爽やかなアメリカン スペシャルティ。ボンネットフードの窓からは銀色の心臓部が覗いていて、まるで美術品のようだ。インテリアも同様で、スポーツシートやハードなメーター類が特別感を増幅しているものの、ストイック過ぎるほどではない。

そして、ロケット加速に加えて感動したのが、予想を超えるコントロールのしやすさだ。5つのモードから選択できるパフォーマンス トラクション マネージメントで、路面状況とドライバーの腕を完璧に補ってくれている。コーナーに入っていくときのビタッとした張り付き感は、その賜物といえるだろう。

いわゆるスーパースポーツカーをはじめ、世界最速を誇るようなマシンは日常域で扱うのは難しいというのはよくある話だが、このZR-1は違う。ひとたびアクセルを踏み込めばハンパない加速が続くマッスルマシンだが、その気になれば日常的にも使うことが可能なクルマだったのだ。

画像: コルベット伝統のOHVは6.2Lでスーパーチャージャーを装着し647psと819Nmを発生。まさにモンスターだ。

コルベット伝統のOHVは6.2Lでスーパーチャージャーを装着し647psと819Nmを発生。まさにモンスターだ。

■シボレー コルベット ZR1 主要諸元

●全長×全幅×全高:4480×1935×1250mm
●ホイールベース:2685mm
●車両重量:1530kg
●エンジン種類:V8 OHVスーパーチャージャー
●排気量:6156cc
●最高出力:476kW<647ps>/6500rpm
●最大トルク:819Nm<83.5kgm>/3800rpm
●トランスミッション:6速MT
●駆動方式:FR
●JC08モード燃費:未発表
●タイヤ:前285/30ZR19、後335/25ZR20
●当時の車両価格(税込):1490万円

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