「温故知新」の逆というわけではないが、最新のプジョー車に乗りながら、古(いにしえ)のプジョー車に思いを馳せてみたい。今回は、最新のプジョー 3008GTハイブリッド4に乗りながら、プジョーの4WDモデルの歴史を振りかえってみたい。(タイトル写真は、上が3008GTハイブリッド4、下が405T16)

やはり、3008GTハイブリッド4は特別なクルマなのだ

もう少し過去に遡ってプジョー初の4WD車を振り返ると、1984年登場の205ターボ16がある。WRC(世界ラリー選手権)のホモロゲーション取得用のモデルで、特殊な設計ではあった。それでも初作でもしっかり開発されていたのは、基本的な技術力の高さを思わせる。その技術とイメージを活かした量販モデルが、1989年に405に設定された4WDモデルだ。

画像: 405MI16X4の発展版として1993年に登場した405T16。スポイラー類がスポーツモデルであることをアピールしている。

405MI16X4の発展版として1993年に登場した405T16。スポイラー類がスポーツモデルであることをアピールしている。

405の4WDモデルは2種類あった。ベーシックグレードは110psのいわゆる生活四駆的モデルであるのだが、フルタイム4WDを採用していた。さらに目玉というべき高性能モデルが、160psの「MI16 X4」である。MI16はFFモデルも存在したが、X4でフルタイム4WDにビスカスカップリングLSDを装備しており、アウディ クワトロが先鞭をつけた4WD高速ツアラーに対するプジョーの回答だった。ラリーにもプジョー ワークスのカラーで出場し、後期型で220psまで60psもパワーアップし、405T16を名乗っていた。

この405T16は、最新の508PSEに近い存在だ。プジョーの4WDは、この高性能モデルの系譜が主流だといえる。3008GTハイブリッド4は、もちろんSUVの車体をもち、SUVとしての走破性を追求している。しかし実際のところは、グランドツーリング的な舞台こそメインステージといえそうだ。

つまり、高性能装備として4WDを与えられた、オールマイティなモデルなのだ。合理主義のフランスではFFで十分だから、高価で複雑な4WDなど必要なしでやってきた。そんな中でハイブリッド4WDというのは、まさに特別な存在といえそうである。(文:武田 隆)

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