「ありえない」と思わせた圧倒的なパフォーマンス
タクシードライブのために用意されたパナメーラは、2台の「ターボ」と1台の「4S」といういずれも4WDで、アダプティブエアサスペンション(ターボ以外にはオプション設定)仕様のモデルだった。「今日のデモドライブでは是非、後席の快適性も味わって下さい」というデュルハイマー氏のオープニングスピーチにもあったように、早速そのVIP席を確保してパナメーラでの初ドライブへと臨む。
起伏に富んだブラインドコーナーが連続するヴァイザッハのテストコース、そこでのパナメーラ初体験でまず学ばされたのは、このモデルが間違いなく「純正ポルシェのピュアスポーツカーである」というこの一点だった。さしたるエスケープゾーンもないタフなコースを、しかしまさしく「我が庭のように走る」ポルシェのテストドライバーの手に委ねられたパナメーラは、兎にも角にもすこぶる速い!
中でも、スタビリティコントロール機能をカットして、それなりの本気モードで走ってくれた「ターボ」のドライバーが駆る1台は、前後左右にとんでもないGを発しながら、ステアリングを握らずしても十分に実感できる濃密な接地感を少しも失うことなく美しいドリフトアングルを保ちながら、迫り来るコーナーをありえないと感じさせられるペースで駆け抜けてくれたのだ。
リアシートに座ってこれほどの強烈体験をしたのはもちろん初めて。と同時に、そんなパナメーラの走りの実力を知ったAMGやBMW Mの開発陣が頭を抱える姿が、チラリと脳裏に浮かぶことにもなった。
パナメーラは、まず地元であるドイツのマーケットからセールスが開始される。その日は、すでにあと半年を切った今年(編集部註:2009年)の9月12日だ。「果たして、今の時代にこうしたモデルがマッチしているのか!?」という、疑問の声をも含んだパナメーラに関する話題がこの秋に沸騰するのは、もはや間違いのないことだろう。(文:河村康彦)
ポルシェ パナメーラ ターボ 主要諸元
●全長×全幅×全高:4970×1931×1418mm
●ホイールベース:2920mm
●車両重量:2045kg
●エンジン:V8 DOHCツインターボ
●排気量:4806cc
●最高出力:368kW(500ps)/6000rpm
●最大トルク:700Nm/2250-4500rpm
●トランスミッション:7速DCT(PDK)
●駆動方式:4WD
●EU総合燃費:8.2km/L
●タイヤサイズ:前255/45ZR19、後285/40ZR19
●最高速度:303km/h
●0→100km/h加速:4.2秒
※データはEU準拠
ポルシェ パナメーラ 4S 主要諸元
●全長×全幅×全高:4970×1931×1418mm
●ホイールベース:2920mm
●車両重量:1935kg
●エンジン:V8 DOHC
●排気量:4806cc
●最高出力:294kW(400ps)/6500rpm
●最大トルク:500Nm/3500-5000rpm
●トランスミッション:7速DCT(PDK)
●駆動方式:4WD
●EU総合燃費:9.0km/L
●タイヤサイズ:前245/50ZR18、後275/45ZR18
●最高速度:282km/h
●0→100km/h加速:5.0秒
※データはEU準拠
ポルシェ パナメーラ S 主要諸元
●全長×全幅×全高:4970×1931×1418mm
●ホイールベース:2920mm
●車両重量:1845kg
●エンジン:V8 DOHC
●排気量:4806cc
●最高出力:294kW(400ps)/6500rpm
●最大トルク:500Nm/3500-5000rpm
●トランスミッション:7速DCT(PDK)/[6速MT]
●駆動方式:FR
●EU総合燃費:9.3[8.0]km/L
●タイヤサイズ:前245/50ZR18、後275/45ZR18
●最高速度:283[285]km/h
●0→100km/h加速:5.4[5.6]秒
※データはEU準拠