2021年3月に発表されたプジョーのCセグメントモデル「308」。正式発売はまだ少し先だが、今回、いち早く特別に試乗する機会に恵まれた。その完成度は期待以上のものだった。(Motor Magazine 2021年10月号より)

進化したプラットフォームを308に合わせて最適化

まず、クルマの基盤となるプラットフォームの名称は「EMP2」で従来型と変わらないものの、新型308では同じEMP2でもバージョン3に進化していて、使用されるパーツの50%が新設計されたという。

また、プラグインハイブリッドシステムは508のものを基本としているが、バッテリー容量は508とも3008とも異なる12.4kWh。つまり、社内でひとつのシステムを流用するのではなく、モデルごとに最適化されたバッテリーパックを開発し、搭載しているのである。

画像: 8速AT(e-EAT8)に180psの1.6L(132kW)ピュアテックエンジンと、81kWの電気モーターを組み合わせたプラグインハイブリッドシステムを構築。

8速AT(e-EAT8)に180psの1.6L(132kW)ピュアテックエンジンと、81kWの電気モーターを組み合わせたプラグインハイブリッドシステムを構築。

マンマシンインターフェースは208に続いて3D iコックピットを採用するものの、表示内容などは308専用に見直された部分が少なくない。また、最近のプジョーはセンターディスプレイの下に多くのトグルスイッチを並べるレイアウトを採用してきたが、新型308ではこれまで物理スイッチの上に「iトグル」を設置。これは、従来同様のトグルスイッチに加えて、センターディスプレイの下側にタッチスクリーン式スイッチ設けることにより、より素早い操作を可能としている。

一般的にタッチスクリーン式はブラインドタッチをしにくいとされるが、iトグルはひとつひとつに割り当てた面積を大きくすることで操作性を高めるとともに、ドライバーがアクセスしやすいようにパネル表面を斜め上方に傾けるなどの工夫が施されている。しかも、このスイッチで操作できる機能や配列はドライバーの好みに合わせて設定することができるので、従来の物理的なトグルスイッチと合わせて利便性は高いかもしれない。

画像: 新世代のiコックピットを採用し、快適性と利便性を向上。

新世代のiコックピットを採用し、快適性と利便性を向上。

エクステリアデザインにも新機軸は多い。基本的なプロポーションは208に近いもので、フロントウインドウの位置をやや後退させてロングフードとし、躍動感に溢れたスタイリングにしている。

一方、新型308では、3008/5008に続いてフレームレスのフロントフェイスを採用したほか、そのグリルの中央には、先ごろ発表されたプジョーの新しいライオンロゴがうやうやしく飾られている。このロゴを採用したモデルは308が初めてとなる。

ちなみに308のロゴは電磁波の透過を阻害しないインジウムで製作されているため、その背後に運転支援システム用のミリ波レーダーを配置することが可能になり、レーダーのセンサー部分が外から見えないすっきりとしたスタイルを実現できたという。

フロントグリルを天地に浅く幅広いデザインにして、さらにフルLEDの「薄い」ヘッドライトを採用した点も、フロントマスク全体の精悍さを増している。

サイドのデザインも特徴的だ。ショルダー部分にボディ前後を貫く直線的なキャラクターラインを設けたうえで、前後輪をカバーするフェンダー部分に強い抑揚をつけることで、ダイナミックな印象を与えている。とりわけリアフェンダー部分は、Cセグメントハッチバックの常識を覆すくらい「彫り」が深く、まるでスポーツカーのようだ。

この鋭い「彫り」はテールゲートにまで回り込み、最近のプジョーでは定番となっているブラックバンド(左右のリアコンビネーションライトを結ぶ黒いガーニッシュ)の下側を縁取るようにデザインされている。これも208や3008/5008では見られなかった斬新なアイデアといえる。

今回は国内発表前の新型308に、愛知県のスパ西浦モーターパークで試乗する機会を得た。ただし、試乗はごく短時間で最高速度も70km/h程度に制限されるなど、そのポテンシャルをフルに発揮できたわけではないが、それでも実力の片鱗は感じ取れたのでご報告しよう。

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