2021年3月に発表されたプジョーのCセグメントモデル「308」。正式発売はまだ少し先だが、今回、いち早く特別に試乗する機会に恵まれた。その完成度は期待以上のものだった。(Motor Magazine 2021年10月号より)

静粛性・快適性が非常に高く、クルマの質感の高さを感じる

先にお断りしておくと、今回ハンドルを握ったのはヨーロッパ仕様の「308GTハイブリッド(左ハンドル)」。限りなく製品版に近い量産試作車ということだが、足まわりの設定などは日本に導入される予定のモデルと同一だそうだ。

走り始めてまず感じたのは、静粛性の高さ。60~70km/hで走行中に耳に届いたのは、サーッという軽いロードノイズのみ。これはエンジンがかかっていてもモーター走行時でも大きく変わらなかった。ちなみに225/40R18のミシュランパイロットスポーツ3という比較的ワイドでスポーティなタイヤを装着していたので、新型308の静粛性が良好と評しても間違ってはなかろう。

それ以上に印象に残ったのが、ボディのしっかり感だった。いうまでもなく、最近のプジョーにボディ剛性が物足りないモデルなどない。ただし、新型308は単純にボディの剛性感が高いだけでなく、タイヤから強い衝撃が加わった振動が直後にすっと収束する優れた減衰特性を実現していた。それは「ソリッド感」、と言い換えてもいいかもしれない。

おかげで安っぽい振動が尾を引くことはなく、クルマ全体がとても高品質に感じられた。これはバージョン3になったEMP2が、構造接着剤を多用していることと無縁ではないはずだ。

おそらくはこれと同じ理由で、ハンドルから感じ取れるロードインフォメーションの「雑味成分」が抜け、すっきりとした感触のみ伝わってくるようになった。

それもハンドルの振動自体は最小限に抑えられているのに、必要なインフォメーションだけが克明に手のひらに伝わるという理想的な仕上がり。これもまた、クルマの品質を高めるのに役立っているように思う。

画像: 新しいロゴはこの新型308で初めて採用。その存在感に見合った走りの進化が与えられている。

新しいロゴはこの新型308で初めて採用。その存在感に見合った走りの進化が与えられている。

コーナーに向けてブレーキングすると、これ以上ないくらい心地いいスピードと量のノーズダイブが起こり、そこからブレーキペダルを戻してハンドルを切り始めてもしっかりと前荷重の姿勢を残してくれる。その後のターンインで起きるロールのスピードと量もまた、私好みの絶妙な加減。

さらにいえば、サスペンションはストローク感がたっぷりとしていて、その動き方もしっとり滑らかで心地いい。ローリングとピッチングのバランスの良さを含めて、プジョー往年のネコ足が完全復活したと評価したくなる足まわりだ。

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