2009年、6代目ゴルフが日本上陸を果たし、そのGTIモデルの導入が秒読み段階に入る中、Motor Magazine誌は5代目で登場した最強のGTI「ゴルフGTIピレリ」に注目している。最高出力で新型GTIを上回るフォルクスワーゲンの特別なモデルは、どんな個性を持っていたのか。そのパフォーマンスは新型にどう活かされたのか、その試乗レポートを振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2009年6月号より)

今も「史上最強のGTI」の称号を持つゴルフVのGTIピレリ

『ゴルフGTIピレリ』。これこそが、ゴルフVI GTIが誕生した後も『史上最強のGTI』のタイトルを手にし続けるモデルの名称。「特別なGTI」とは言っても、それは単にチューニングパーツを装着したものなどではない。フォルクスワーゲン本社の提案に基づいてきちんと世界市場での販売が行われたカタログモデルなのだ。

実はそんなスペシャルなGTIには、歴史上の「出典」も見ることができる。それは、初代のゴルフGTIに設定され、日本には導入されなかったものの世界では1万余台が発売されて好評を博したという1983年にリリースの1台。やはり専用にパワーアップされたエンジンを搭載し、ピレリのロゴがあしらわれた専用デザインのホイールを装着するなどのドレスアップが行われたこのモデルこそが、『GTIピレリ』を名乗った第一号車だった。

すなわち、ここに紹介するGTIピレリは、言うなればそんなかつてのモデルを先祖に持ちつつ、25年という遥かなる時空を経て現代へ蘇った復刻版。当然ながらそれは、単にパワーアップしたエンジンを搭載するだけのモデルなどではない。そんなこのモデルはまず、軽くドレスアップを図ったエクステリアによってさりげなくアピールを行うことになる。

画像: インテリアもエクステリア同様に、VWインディビデュアルの手によって仕上げられている。

インテリアもエクステリア同様に、VWインディビデュアルの手によって仕上げられている。

ベースとなった、すなわち「ゴルフVのGTI」に対して一見ローダウン化が図られたように感じるのは、専用デザインが与えられた前後バンパーや、ボディ同色に統一されたサイドスカートといった視覚的な効果によるところが大きいようだ。

加えて、そんなボディの足もとが一段と逞しく感じられるのは、ゴルフVI GTIが17インチのシューズを履くのに対して、こちらは専用デザインのホイールに18インチの『ピレリPゼロ』を組み合わせているからにほかならない。

一方、ドアを開くとまず目を引くのは、大胆にもタイヤのトレッド状パターンが刻み込まれた前後4席分のスポーティなデザインのシート。そんなシートのサイドサポートやヘッドレスト、そしてパーキングブレーキレバーやステアリングホイールリムなどに丁寧に縫い込まれた黄色のステッチは、もちろんかのピレリ社のコーポレートカラーを彷彿とさせるものだ。

そんな個性的なルックスでまずは人々の目を引くGTIピレリの走りのテイストは「オリジナルのGTI」とは明確に異なるものだ。それも、その両者には「多くの人々が予想するレベルを超えたもの」と思えるほどに、かなりの大きな差が感じ取れる。

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