抜群のコントロール性を持つNISMOクラブスポーツ
今回それを試すことができたのは、GT-Rの国内テストの本拠である仙台ハイランドレースウェイである。
早速スペックVで・・・と行きたいところだったが、まずは肩ならしと確認を兼ねて標準車でコースに出ることになった。デビュー当時の通称07モデル、続いて昨年(2008年)末に登場した09モデルを試す。
もっとも違いが如実だったのは乗り心地の良さ、そして接地感の高さだ。これは以前に公道で試乗した際の印象通り。路面のザラつきがダイレクトに響く07モデルに対して09モデルは明らかにしなやかさが増し、グリップも安定している。操舵応答性も劇的とは言わないまでも、やはり高いというか素直で、とても乗りやすく、そしておそらくは速くなっていたのを確認できた。
一方、エンジンは順調に距離を伸ばした07モデルも悪くなかった。GT-R、ちょっとやそっとじゃヤレたりしない。それどころか、ますますこなれてくるようだ。
続いてはNISMOクラブスポーツパッケージ装着車を試す。昨年(2008年)の夏にデビューしていたこのパッケージは、ここ仙台でのラップタイムを標準車より1秒向上させるなどサーキットでの性能向上を図りつつ、そこまでの公道での走りにも配慮したというもの。言ってみればベース車とスペックVの中間に位置する存在と言える。実際、それは価格にも表れていて、全パッケージのセット価格は何と546万円である。
その概要は、シャシーパッケージが専用サスペンション、タイヤ、ホイールと取り付け&セットアップを含み価格は220万5000円。他にカーボンバケットシートとチタンエキゾーストシステムがそれぞれ単品で189万円と設定されている。
その果実として、クラブスポーツパッケージは09モデル以上に乗りやすさが高まっていた。スプリングレートは高まっているはずなのにさらに路面追従性に優れ、荒れたところでもうねりを強行突破する時でも安心感が違う。変更されたRモードの減衰力もドンピシャリなのだろう。コーナーでの姿勢変化はさらに少なく、S字の切り返しは軽快だし、グリップ限界も掴みやすい。つまりコントロール性抜群なのだ。
これまた専用開発されたブリヂストンRE070Rタイヤの貢献度も大きいに違いない。もうひとつの設定であるダンロップと較べると、明確なピークがない代わりに美味しい領域の幅が広く、大きくスライドした時の懐も深いという印象。ソリッドな動きを好むならダンロップだが、たまの休日にサーキットへというユーザー向けとしては、この特性は正解だろう。
ちなみに試乗車は中速トルクを増強し、マニュアル変速時のシフトスピードを速めた専用のコントロールユニットを搭載しており、走りの気持ち良さを高めていた。これも遠からず世に出るということである。