スズキの軽自動車「ワゴンR」といえば、軽ワゴンスタイルのパイオニアとして長い人気を誇る「ブランド」。そのラインナップに、新たな魅力が加わった。2021年8月27日デビューの「スティングレー」以来となる「ワゴンRスマイル」は、ワゴンR史上初のスライドドアに加え、最新のインターフェイスやインフォテインメントなど「あったらいいな」を満載。今回、このニューフェイスに初試乗。乗れば乗るほど、知れば知るほど、とてもお買い得な1台に思えてきたのだった。
ワゴンR初のスライドドアがやっぱり便利。ハスラー調のたたずまいも微笑ましい
エクステリアデザインの方向性は、丸いヘッドライトの印象そのまま。ハスラーの系統を強く感じさせる。もっとも、短いボンネットと長いルーフラインから構成されるシルエットそのものは、スペーシアに近い。しかも名前は「ワゴンR」・・・これはもはやスズキ軽オールスターズのいいとこどり、なのではなかろうか。
そもそもこのワゴンRスマイルは「ワゴンRの背の高さぐらいのスライドドア車が欲しい」という声に応える形で、企画開発が進められたのだという。
当然、ハード系のコンポーネンツはスペーシアの系譜が色濃いのだけれど、全高はワゴンR:1650mm→スマイル:1695mm→スペーシア:1785mmの順に高くなっていく。つまりカテゴリー的にはワゴンRにより近い。開発側のスタンスとしてもこのスマイルは、まぎれもなく「もっと便利なワゴンR」なのだ。
スライドドアの開口部は幅600mmとスペーシアと同等。リアステップの地上高も同じく345mm、後席への乗り降りのしやすさは確かに実感できる。
室内高はワゴンRに対してプラス65mmを確保。とくに後席は肩口にゆとりがある印象だ。ヘッドクリアランスも後席は拡大されているので、大柄な男性でも窮屈な思いをせずにすみそうだ。
とは言えこの「ゆとり」だけでは、上級グレード比でワゴンR(ハイブリッドFZ)よりも約17万円ほど上がってしまうコストに見合っているとは思えない、というのが正直なところ。スマイルは果たして、ほかにどんなところにお金がかかっているのだろうか。