スズキの軽自動車「ワゴンR」といえば、軽ワゴンスタイルのパイオニアとして長い人気を誇る「ブランド」。そのラインナップに、新たな魅力が加わった。2021年8月27日デビューの「スティングレー」以来となる「ワゴンRスマイル」は、ワゴンR史上初のスライドドアに加え、最新のインターフェイスやインフォテインメントなど「あったらいいな」を満載。今回、このニューフェイスに初試乗。乗れば乗るほど、知れば知るほど、とてもお買い得な1台に思えてきたのだった。

充実装備で重量増。それでもキビキビと元気に走ることができる

画像: このクラスとしては操縦安定性も非常に優れた印象がある。快適性も高い。

このクラスとしては操縦安定性も非常に優れた印象がある。快適性も高い。

デザイン、使い勝手などワゴンRとしての「世界観」を大きく広げてくれるスマイルだが、走りに関してはシンプルで潔い。660cc 直3自然吸気のR06D型(最高出力49ps/最大トルク58Nm)搭載モデルを3グレード用意するが、中心になるのは2.6ps/40Nmを発生するISG(モーター機能付発電機)を組み合わせたマイルドハイブリッド搭載車だ。全車CVTで、FFと4WDをラインナップする。

スライドドアの採用など充実した装備のおかげで、車両重量はワゴンRに対して100kgほど重くなっている。全高が45mmも高いこともあって、試乗する前は加速性能、コーナリング性能ともにそれなりに厳しいものがあるのではないか、と予想していた。

だが実際に走ってみると、乗り味はかえってしっとり感が増し上質になったように思えた。駐車場でクルマを移動させている時から、適度な重さをともなった自然な操舵感に1クラス上の落ち着きが感じられる。やや路面の荒れた一般道でも、想像以上に滑らかな乗り心地だ。構造用接着剤の採用によるボディの工作精度の向上が、音振性能を高めているようだ。

画像: 加速時にはアクセルペダルを踏み込みがち。しかし構造用接着剤の採用で遮音性が高まっているために、エンジン回転が高まっても不快さは少ない。

加速時にはアクセルペダルを踏み込みがち。しかし構造用接着剤の採用で遮音性が高まっているために、エンジン回転が高まっても不快さは少ない。

ただし加速性能に関しては、やはり「軽快」とは言えない。リチウムイオンバッテリーにためたエネルギーで、加速時にモーターがアシストしてくれるのだが、どうしてもついついアクセルを多めに踏み込んでしまいそうになる。もともと低速域でのわずかなアクセルペダルの踏み込みにリニアなトルクを立ち上げてくれるR06D型ユニットの魅力が、やや薄まっているように感じられた。

もちろん実用的には十分なパフォーマンスで、なによりスムーズな加速感は扱いやすさが光る。走りの面でもこれ1台で幅広いユーザーの願いを満たしてくれることだろう。

スライドドアなど、さまざまな「ワゴンRにあったらいいな」を詰め込んだ新スタイル「スマイル」は、「ワゴンR」プラス約17万円&便利なオプション代にしっかり見合った満足感を、たっぷり味わわせてくれることは確かだ。あえて欲を言えば・・・「ターボ仕様もあったらいいな」。(文:Webモーターマガジン編集部 神原 久/写真:永元秀和)

スズキ ワゴンRスマイル ハイブリッドX(2WD) 主要諸元

●全長×全幅×全高:3395×1475×1695mm
●ホイールベース:2460mm
●車両重量:870kg
●エンジン:直3 DOHC+モーター
●総排気量:657cc
●最高出力:36kW(49ps)/6500rpm
●最大トルク:58Nm(5.9kgm)/5000rpm
●トランスミッション:CVT
●駆動方式:横置きFF
●燃料・タンク容量:レギュラー・27L
●WLTCモード燃費:25.1km/L
●タイヤサイズ:155/65R14
●車両価格(税込):159万2800円

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