「10年ひと昔」とはよく言うが、およそ10年前のクルマは環境や安全を重視する傾向が強まっていた。そんな時代のニューモデル試乗記を当時の記事と写真で紹介していこう。今回は、フィットをベースにしたコンパクトなステーションワゴン「ホンダ フィットシャトル」だ。

コンパクトのイメージを払拭する実用性の高さ

画像: フィットよりもメッキパーツや塗装パーツを多用して、インパネまわりからも上質感が感じられる。

フィットよりもメッキパーツや塗装パーツを多用して、インパネまわりからも上質感が感じられる。

パワートレーンは、フィットの1.5Lガソリン車およびハイブリッド車と共通。車両重量がハイブリッド同士で80kg違い、その重量差はリアの軸重増となるが、それも寄与してか、前後重量配分が適正化されている。そのため、コーナリング時の姿勢やピッチングの仕方において、フィットよりフロントヘビーな印象がやや薄れている。

加えてシャトルの静粛性は非常に高く、乗り心地もよりしなやかに味付けされているようで、全体的にフィットよりも落ち着いた雰囲気に仕上がっている。いわば車格がひとつ上になったというイメージだ。

動力性能的には、やはりハイブリッドの方がゼロ発進でモーターによる押しの力強さを持ち、目標速度までの到達に要する時間も短くてすむ。ただし、ガソリン車も1.5Lだから、フィットの1.3Lとハイブリッドほどの違いはない印象だ。

ハイブリッドは低速トルクに余裕があるため、CVTに変速過多な印象もなく、全般に乗りやすい。燃費だけでなく、この乗りやすさを手に入れるためにハイブリッドを選ぶというもありだろう。

と、シャトルはあらゆる面で万能性を見せつけているが、フィットに対する最大のアドバンテージは、やはり後席以降のスペースの大きさであることに間違いない。フィットもボディサイズの割りに広く、一般的な使用において不便に感じることもまずないのだが、やはり絶対的な広さをカーライフに求めるという人は少なくない。

その点、シャトルはフィットに対してモアスペースを持つワゴンボディであり、あるいはミニバンなど大きめの車種からの買い替えにおいて、ダウンサイザーの受け皿としても最適なクルマの1台であることは間違いなさそうだ。

画像: こちらは1.5Lガソリン車の15X。ハイブリッド車ほどのパワフルさはないが、パワー的には必要十分なレベルにはある。

こちらは1.5Lガソリン車の15X。ハイブリッド車ほどのパワフルさはないが、パワー的には必要十分なレベルにはある。

■ホンダ フィットシャトル ハイブリッド 主要諸元

●全長×全幅×全高:4410×1695×1540mm
●ホイールベース:2500mm
●車両重量:1200kg
●エンジン:直4 SOHC+モーター
●総排気量:1339cc
●エンジン最高出力:65kW(88ps)/5800rpm
●エンジン最大トルク:121Nm(12.3kgm)/4500rpm
●モーター最高出力:10kW(14ps)/1500rpm
●モーター最大トルク:78Nm(8.0kgm)/1000rpm
●トランスミッション:CVT
●駆動方式:横置きFF
●10・15モード燃費:30.0km/L
●タイヤサイズ:185/60R15
●当時の車両価格(税込):185万円

■ホンダ フィットシャトル 15X 主要諸元

●全長×全幅×全高:4410×1695×1540mm
●ホイールベース:2500mm
●車両重量:1150kg
●エンジン種類:直4 SOHC
●排気量:1496cc
●最高出力:88kW<120ps>/6600rpm
●最大トルク:145Nm<14.8kgm>/4800rpm
●トランスミッション:CVT
●駆動方式:横置きFF
●10・15モード燃費:20.0km/L
●タイヤサイズ:185/60R15
●当時の車両価格(税込):165万円

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