意志の疎通がたやすくスポーティなミトの走り
それを踏まえてのミトである。このミトが期待を抱かせ、そしてそれに応えるモデルであることは、昨年(2008年)イタリアで行われた国際試乗会ですでに体感している。しかし、ここは日本だ。今回は高速道路からワインディングロードまで勝手知ったる道で、それらを存分に味わってみた次第である。
走り出す前に、改めてその姿をじっくりと眺めてみる。初めて見た時と印象は同じ。デザイナーはよくこんな格好のクルマにしようと思ったものだし、それにトップがゴーサインを出したことにも驚くばかりだ。誰が見てもカッコ良いだとかスタイリッシュだとか、そういうものでは間違いなく、ない。
しかし、妙に惹かれるのも、また確か。8Cで目が慣らされたのも事実だが、それにしても少なくとも常識的とは言えないのに、いやそれだからこそ鮮烈なデザインは、考えてみれば過去の魅力的なアルファロメオに共通の味と言えるかもしれない。何もジュリアまで遡らなくても、155やら75やらを見れば、明らかだ。
8Cと同じように、インテリアはわりとオーソドックスだ。こちらはカーボンではなくそれ風の織目が入った不思議な感触のソフトパッド、円形のエアダクト、3本スポークのステアリングホイールなどによって、テイストも似たところがある。クオリティだって悪くはない。
ただしドライビングポジションは不満。フットレストとペダルの位置が合っておらず、左足を上げたような姿勢を強制されるのである。おかげで長く乗った後には、ずっと捻っていた腰が痛くなってしまった。
しかし操作系全般の手応えは抜群だ。ミートポイントの掴みやすいクラッチペダル、コクッと吸い込まれるように決まるギアシフト、そしてスッキリとした手応えのステアリング。いずれも今の車両や路面の状態を掌なり足なりに逐一伝えてくる。クルマを感じて、対話しながら走るには、それは不可欠の要素だ。