2021年11月25日(ドイツ現地時間)、現代自動車(Hyundai/ヒョンデ)の電気自動車でクロスオーバーユーテリティビークルの「IONIQ 5(アイオニック 5)」が、2022年のドイツカー・オブ・ザ・イヤー(以下、GCOTY)を受賞した。ここでは、日本に導入されていないこのEVを解説していこう。

現代自動車の「IONIQ 5」とは、どんなEVなのか?

IONIQ 5の「IONIQ」とは、現代自動車が展開する電気車専用ブランドで、IONIQ 5は「IONIQ」ブランドとして世に出した初のモデルになる。

その最新モデルであるIONIQ 5は、現代自動車グループのEV専用プラットフォーム「E-GMP(エレクトリック グローバル モジュラー プラットフォーム)」を採用して開発された。駆動用バッテリーの容量は58kWhと72.6kWhの2種類をラインナップ、駆動方式に4WDと2WDが設定されている。72.6kWhのバッテリーを搭載した2WDバージョンなら、フル充電で最大481km(WLTPモード)の走行が可能だ。

IONIQ 5は、ハイパフォーマンスと超高速充電を実現している。800Vの充電技術により、いずれのバッテリーでも350kWの超急速充電器(すでに欧州で導入)に対応し、充電残量10%の状態からわずか18分で80%まで充電できる。また、5分の充電で約100km(航続型2WD/WLTP)の走行が可能だ。しかも、給電機能(V2L/ビークル to ロード)で最大3.6kWの電力を供給できるので、ラップトップPCや電動スクーターなどを運転中または駐車中に充電することもできるという。

画像: シャープで洗練された姿を完成させてくれる鋭いラインが特徴的な IONIQ 5。

シャープで洗練された姿を完成させてくれる鋭いラインが特徴的な IONIQ 5。

ボディスタイルはクロスオーバーSUVで、外寸は全長4635×全幅1890×全高1605mm、ホイールベースは3000mm。シャープで洗練された姿を完成させている鋭いラインが特徴的だ。フロントまわりを装飾するパラメトリック ピクセルはIONIQのアイコンで、イメージを構成する最小単位であるピクセルからインスピレーションを受けて誕生したもので、IONIQ 5に盛り込まれたデジタル技術を連想させる。また、IONIQ 5は最大1600kgの車両総重量定格のトレーラーを牽引することもできる。

CセグメントのクロスオーバーSUVながらDセグメント並みに広い室内空間は、このクラスとしてはかなり長い3000mmというホイールベースによって実現している。そのインテリアは環境に配慮した素材を多用して、IONIQ 5のサステイナブルな特性を強調している。

また、モジュール型のダッシュボードにはふたつの12インチディスプレイが並べられ、ひとつはタッチパネル式のインフォテインメントスクリーン、もうひとつはフードレスのデジタルメータークラスターとなっている。

特徴的な機能を備えるのがスライド機構で、狭い場所に駐車した際に後席搭乗者が左右どちらのドアからも乗降しやすいよう、リアシートだけでなくセンターコンソールにもスライド機構を備えている。室内空間をより柔軟に活用できるように工夫されているわけだ。

画像: モジュール型ダッシュボードのインパネは、2枚の12インチ ディスプレイで構成されている。

モジュール型ダッシュボードのインパネは、2枚の12インチ ディスプレイで構成されている。

現在のところ、現代自動車は日本市場で乗用車を展開していないが、このIONIQ 5をもって近い将来に日本市場へ再参入するのではないかと噂されている。どのような進展があるのか、期待したい。

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