2021年8月5日に発表されたホンダ新型シビックは、9月3日の発売以来約1カ月で3000台を超える注文を受ける順調なスタートを切った(月間販売計画台数は1000台)。1972年に登場した初代シビックは合理的なFFコンパクトハッチバックとして登場、グローバルな人気モデルとなって10世代・50年にわたって進化してきたが、はたして11代目新型シビックはどんなクルマとなったのか。今回の特集では16回にわたって、新型シビックの魅力を検証してみよう。その初回となる本記事では、新型シビックの概要や特徴をまとめてみた。

乗る人すべてが「爽快」になることを目指した11代目シビック

【概要】

シビックは今回の新型で11代目、2022年には生誕50周年を迎える伝統のあるブランド。遡れば、ホンダが北米市場に進出するきっかけとなったのも初代シビックだった。シビック(CIVIC)という名前が示すように「市民のためのエントリーモデル」的な存在だったが、北米市場や欧州市場で人気が高まる中で、そのニーズに合わせるようにボディサイズが少しずつ拡大、初代フィット(2001年)の登場とともに日本市場ではエントリーモデル的な役割を終え、8代目でベーシックカーからミドルクラスへ移行した。

その後、リーマンショックのあおりも受けて日本市場から一時姿を消した時期もあった(タイプRは限定販売された)が、その間もシビックは着実に進化。先代の10代目はその基本性能を高く評価されてグローバルで大ヒットを記録し、日本市場での復活も果たした。そして2021年8月5日に登場した新型の11代目では、アウディ A3やフォルクスワーゲン ゴルフなどと並ぶCセグメントモデルとして再び注目を集めている。

画像: ロー&ワイドなリアビュー。ボデイタイプは5ドアハッチバックだが、スタイル的には5ドアクーペに近い。

ロー&ワイドなリアビュー。ボデイタイプは5ドアハッチバックだが、スタイル的には5ドアクーペに近い。

【キーポイント】

11代目のグランドコンセプトは「爽快シビック」。ホンダのクルマづくりの基本である「人中心」の考え方を掘り下げ、親しみやすさと特別な存在感を併せ持ち、乗る人全員が「爽快」になれるクルマを目指したとしている。

軽快かつ一体感のあるステアフィールや優れた静粛性や乗り心地と合わせ、クルマの基本性能である「走る・曲がる・止まる」が徹底的に磨き上げられた。

ボディは米国市場向けに4ドアセダンも用意されるが、日本仕様は5ドアハッチバックのみでデビューした。

プラットフォームは先代のものをさらに進化させ、高張力鋼板やアルミの使用比率拡大、格子状のフレーム設計に構造用接着材の適用を拡大したフロアなど高剛性化と軽量化を図り、ボディの捻り剛性を従来比で19%も向上させている。

【エクステリア】

日本仕様のボディは5ドアハッチバックのみ。6ライトのサイドビューはクーぺのように流麗で、薄型のLEDヘッドライトとハニカムグリルからなるフロントマスクとロー&ワイドなリアビューも特徴的だ。

そのスタイリングは運転しやすいだけでなく開放的なキャビンを生み出すことにも配慮されたもので、流麗なプロポーションを描くことで前方視界の確保と美しいクルマの両立を目指したという。従来からのロー&ワイドな骨格を際立たせることにより、高い安定感と動的性能の両方でシビックらしい合理的なパッケージが作り上げられている。

画像: 全長4550mm、ホイールベース2735mm。日本仕様は流麗な6ライトのサイドビューを持つ5ドアハッチバックでデビュー。

全長4550mm、ホイールベース2735mm。日本仕様は流麗な6ライトのサイドビューを持つ5ドアハッチバックでデビュー。

【インテリア】

「爽快な朝」をテーマに心地よさを追求して「ノイズレスな造形」としたというインテリアは、低く水平基調のダッシュボードデザインやスクエアなガラスエリアもあって視界は良好。助手席側までパンチングメタルを採用した横長のハニカムパネルのエアコンの吹き出し口が新型の大きな特徴となっている。

また、上下の目線移動を抑えたインターフェースや、直感的に操作しやすく触感にもこだわったスイッチ類、5度傾けたシフトレバーなど、操作系は機能性を重視してデザインされた。中央部がモニターとなったメーターは見やすく、ホンダコネクト対応のナビゲーションも使いやすい。

また、左右独立フルオートエアコンや運転席8ウエイ/助手席4ウエイパワーシート、BOSEプレミアムサウンドシステム、スマホ連動ホンダコネクト対応ディスプレイなど、快適装備もグレードによって充実させている。

居住性も良好。クーぺのようなルーフラインながら、後席にも十分なスペースが確保されている。頭上空間にそれほど余裕はないが、ホイールベースの延長により前後席の距離を35mm拡大して後席の足もとは広い。

ラゲッジルームはクラストップレベルとなる452L(ホンダ測定値)の大容量。しかもテールゲートは大きく開口面積が広いため、荷物の積み降ろしもやりやすい。横方向ロール式のトノカバーもいいアイデアだ。

画像: 低く水平基調のダッシュボードデザインが特徴のインテリア。パンチングメタルのエアアウトレットメッシュがポイントになっている。

低く水平基調のダッシュボードデザインが特徴のインテリア。パンチングメタルのエアアウトレットメッシュがポイントになっている。

【パワートレーン】

搭載されるエンジンは182ps/240Nmを発生する1.5L 直4 DOHCのVTECターボ。さまざまなモデルに使われるホンダの主力ユニットで、新型シビックではターボチャージャー、ヘッド、クランクシャフト、オイルパン、ピストンなど多くがアップデートされて、低回転域から十分なトルクを発生する一方で、小気味いいピックアップが味わえるセッティングとなっている。

トランスミッションはパドルシフト付き7速マニュアルモードCVTと6速MTを設定。駆動方式はFFのみとなる。

画像: 最高出力182ps/最大トルク240Nmを発生する1.5L 直4DOHCのVTECターボ。低回転から十分なトルクを発生させる一方、回して楽しい特性に仕上げられている。

最高出力182ps/最大トルク240Nmを発生する1.5L 直4DOHCのVTECターボ。低回転から十分なトルクを発生させる一方、回して楽しい特性に仕上げられている。

画像: パドルシフト付き7速マニュアルモードCVT。トランスミッションはこのCVTと6速MTが選択できる。

パドルシフト付き7速マニュアルモードCVT。トランスミッションはこのCVTと6速MTが選択できる。

画像: 6速MTはギアボックス本体こそ先代と同じだが、シフトノブ、レバー、リンクのバネレートやピンの精度まで再設計。カチッとしたタッチが実現されている。

6速MTはギアボックス本体こそ先代と同じだが、シフトノブ、レバー、リンクのバネレートやピンの精度まで再設計。カチッとしたタッチが実現されている。

【ラインナップ】

設定モデルは標準グレードの「LX」と上級グレードの「EX」の2種類で、タイヤその他の走行性能にまつわる部分はすべて共通。いずれもトランスミッションはCVTと6速MTが選択できる。車両価格は以下のとおり。

■ホンダ シビック ラインナップ

LX:319万円(CVT/6速MTとも同価格)
EX:353万9800円(CVT/6速MTとも同価格)

今後、ハイパフォーマンスモデル「タイプR」やハイブリッドモデル「e:HEV」が追加されることがすでにアナウンスされているが、北米市場で展開される4ドアセダン、そのスポーツモデル「Si」の日本市場投入の情報はまだ聞こえてこない。

【先進安全性能】

先代との比較で注目されるのが先進運転支援システム(ADAS)の充実。

約100度の視野を持つフロントワイドビューカメラ、後方・近距離の障害物を検知するソナーセンサー、後方からの接近車両を検知するリアコーナーレーダーを標準装備し、機能をさらに進化させた最新の「ホンダセンシング」を搭載。具体的には、「誤発進抑制機能」、「後方誤発進抑制機能」、「近距離衝突軽減ブレーキ」、「トラフィックジャムアシスト(渋滞運転支援機能)」、「ブラインドスポットインフォメーション」、「パーキングセンサーシステム」、「後退出庫サポート」が新型で追加された。

また、夜間の対向車などに眩しさを与えず、良好な遠方視認性を提供する「アダプティブ ドライビングビーム」をホンダ車として初採用するなど、レベル3の自動運転技術こそ搭載されないが、安全面でも商品力が大きく向上している。

ホンダ シビック EX 6速MT仕様 主要諸元

●全長×全幅×全高:4550×1800×1415mm
●ホイールベース:2735mm
●車両重量:1340kg <1370kg>
●エンジン:直4 DOHCターボ
●総排気量:1496cc
●最高出力:134kW(182ps)/6000rpm
●最大トルク:240Nm/1700−4500rpm
●トランスミッション:6速MT<CVT>
●駆動方式:横置きFF
●燃料・タンク容量:プレミアム・47L
●WLTCモード燃費:16.3km/L
●タイヤサイズ:235/40R18
●車両価格(税込):353万9800円
※<>内はCVT仕様

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