空力で四輪にかかる荷重を均等に
クルマにはよく、適正な前後重量バランスがあると言われている。前50:後50を理想とする考え方もあるが、一般的に公表されている数値はあくまで停止状態での重量配分であり、走行中はボディ前後にかかる空気抵抗によってそれぞれのタイヤにかかる荷重も変化する。
この走行中の空気抵抗を含めてタイヤ四輪にかかる荷重を均等にすることで、走行安定性やスポーツ性を高めようとしているのがホンダの純正アクセサリーパーツを制作しているホンダアクセスの「モデューロX」だ。
モデューロXとは、ホンダが専用のカスタマイズパーツ(ホンダアクセスが開発)を量産工程で装着/販売するコンプリートカーブランドだ。現在、フリードやフィット、ステップワゴンなどに設定されている。
今回発表された、コンパクトSUVの新型ヴェゼルをベースにしたモデル「ヴェゼル e:HEV モデューロX コンセプト」も前述の考え方のもとで開発されたパーツを装着している。
標準仕様のヴェゼルは走行中、空気抵抗によってすこし前傾姿勢になり、フロントタイヤへの荷重がより大きくなる傾向だという。そこでモデューロXでは空力による前後のリフト値、そして四輪にかかる荷重を均等近くにするためのパーツを開発。
フロントバンパーの両サイドに「くびれ」のようなデザインやエアロフィンを採用したり、ボンネットフード先端の形状を改めるなど、空力を意識した造形を取り入れている。また、リアにおいてもテールゲートスポイラーを装着、バンパーサイド形状を変更するなど改良が施される。
見えない部分ではあるが床下の整流効果にも手を加えられ、フロントのエアロボトムフィンやエアロスロープ、リアのディフューザーなども採用される。もちろん走行性能に直結するサスペンションや18インチアルミホイールなども専用設計されている。
こうした数々のパーツによりしなやかで快適な走行性能を実現しており、こうした走りは「道なき道をしなやかな身のこなしで駆け抜ける筋肉質な『黒豹(くろひょう)』」をモチーフに開発された。実車は東京オートサロン2022の会場で展示され、2022年内の発売を予定しているという。