初代シビック 1972-1979
初代シビックは、前後のオーバーハングを切り詰めた2ボックススタイルやFF駆動を採用した合理的なパッケージング、デザインをひっさげて、1972年に登場。ベーシックに徹した国際商品として開発されたモデルで、コンパクトなボディと広いキャビンスペース、小気味良い走りを巧みにバランスさせていた。
そのユーティリティの高さと乗りやすさでデビュー当初から高い評価を受けたが、世界一厳しい排出ガス規制法といわれたアメリカの大気浄化法(通称:マスキー法)をCVCCエンジンで世界で初めてクリアしたことで、日本市場、北米市場で一気に大ヒットとなった。この初代シビックが、ホンダ4輪事業の基礎、北米市場での成功の基盤となったのは間違いない。
全長は3405mm、全幅1505mm、全高は1325mmで、見た目よりも全高が低く、前から見ても横から見ても台形デザインであるのが特徴。2ボックススタイルだが、当初は独立したトランクを持つ2ドアファストバックで登場、後に3ドアハッチバック、4ドアファストバック、5ドアハッチバックを設定した。
1974年にはCVキャブを2連装したホットハッチ「RS(ロードセーリング)」が登場。痛快な動力性能でFFスポーツならではの軽快な走りをもたらした。
2代目シビック 1979-1983 【通称:スーパーシビック】
2代目シビックは、初代からユニークな台形プロポーションを引き継ぐキープコンセプトで登場したが、ボディは初代よりひとまわり大きくなり(3ドアのスリーサイズは3760×1580×1350mm、ホイールベース2250mm)、当時の国際サイズの室内空間を得たのが特徴だった。
また、スピードメーターとタコメーターを同軸上に配置する「集中ターゲットメーター」やダイヤル選局式のロータリーチャンネルラジオなど新しいアイデアを数多く投入。
ボディは3ドアと5ドアのハッチバックのほかに、4ドアセダンも設定。さらに、ステーションワゴン「シビックカントリー」の追加やワンメイクレース「シビックレース」の開催など、なにかと話題は多かった。
デザイン的にはキープコンセプトだったが、あらゆる面で初代を超えるモデルということで、また初代と区別するために「スーパーシビック」と呼ばれた。
スポーツモデルとしては初代の「RS」を彷彿とさせたのが「1500CX」。このモデルはRSの後継として注目されただけでなく、ワンメイクレース用車両のベースともなった。
3代目シビック 1983-1987 【通称:ワンダーシビック】
1983年に登場した3代目は、初代から続くFF2ボックススコンセプトを継承しながら、「M・M(マン・マキシマム・メカ・ミニマム)思想」の設計哲学のもとに、デザインやメカニズムを大きく刷新して市場を驚かせた。
エンジンは1.3L(CVCC)と1.5Lに加えて1.6LのZC型(Si)を搭載、リアを大胆に切り落とした3ドアハッチバックのデザインも話題となった。
ボディバリーションは3ドアハッチバックと4ドアセダンに加え、5ドアハッチバックをマルチパーパスビークルの「シャトル」として設定、シリーズが大きく拡大することになった。
その後のシビックに綿々と引き継がれていくスポーツモデル「Si」の登場や、全日本ツーリングカー選手権での活躍によって、シビック=スポーティを決定的なものとしたモデルとして記憶される。販売的にも大ヒットした。