BEVのへの普及に向けた課題も鮮明に見えてきた
しかしこの先、真に地球温暖化の防止という効果を踏まえながらCO2排出量削減に本格的に取り組むためには、途上国への展開も念頭に置きつつ、前述のような弱点の解消に取り組まなければならないのは自明というもの。
例えば、いち早いタイミングで量販型のBEVを世に送り出しながら、現状では充電インフラが充実しているとは決して言うことはできず、しかも「急速」を謳いながらも古くから存在する規格の充電器では、最近の大容量バッテリーを積むモデルの充電には長時間を要して使い勝手の良くない日本では、すでに充電インフラの「陳腐化」が始まっているといった印象すらを受けるものでもある。
昨今ようやく話題として取り上げられるようになってきた印象を感じるが、いくらBEVが普及しても、そこに充電する電力そのものを火力で発電していたのでは、CO2排出量削減の効果は大幅に減少してしまうというその市場特有のいわゆる「エネルギーミックス」の問題も重要。そうした点では、実は従来からの純エンジン車以上に「市場を選ぶ」という言い方ができそうなのがBEVをはじめとする今のプラグインモデルでもあるのだ。
そうしたことから、そんなプラグインモデルに対する適性というものをこれまで以上に綿密に検証する必要とともに、この先のBEVに対しては、これまでそのローンチには積極的とは言えなかったプレミアムブランド以外からのクルマが求められる時代になっていくこととなりそうだ。
となると、やはり現状ではリチウムイオンが主流を占める駆動用バッテリーの形態には、どうしてもいま一歩の技術革新が望まれるところ。しかし、それによって既存のBEVが一気に旧態化してしまえばその価値は大幅なダウンが避けられないだろうし、これまでの整備の手法が通用しないことになったりすれば、それもまた「骨の髄」までクルマを使い倒して行くという新興国での使われ方とは相容れないものとなってしまう。
そんなわけで、この先に向けてもBEVを取り巻く環境には、さまざまな課題と話題が発生することは間違いなし。それに対して、いかなる手腕をもってそうしたハードルをクリアして行くのかが、各メーカーに課せられた使命と言えるだろう。(文: 河村康彦)