2022年2月8日、ヒョンデ モーターカンパニーの100%子会社であるヒョンデ モビリティ ジャパンは、日本の乗用車市場への参入を発表。まず、ZEV(ゼロ エミッション ビークル)であるEV(電気自動車)の「IONIQ(アイオニック)5」とFCEV(燃料電池電気自動車)の「NEXO(ネッソ)」を投入。2022年5月よりオーダー受付を開始し、7月からデリバリーの予定だ。

「走る空気清浄器」といわれるネッソ

画像: 流麗なデザインが特徴的な、ヒョンデ ネッソ。

流麗なデザインが特徴的な、ヒョンデ ネッソ。

続いて解説するのが燃料電池車の「ネッソ」。ホンダ クラリティが生産中止となり、いまや日本では購入可能な燃料電池車はトヨタのMIRAIだけになってしまった(バスのSORAもあるが、個人で購入する人はいないだろう)から、貴重なモデルと言えるかもしれない。

いわゆるクーペSUV的なスタイリングだが、川の流れにより角が削がれ、丸みを帯びた石=「リバーストーン」からインスピレーションを得たという流麗なデザインが特徴的だ。

インテリアでは、センタークラスターと一体化したブリッジタイプのセンターコンソールが目を引く。メーターパネルやマルチメディアスクリーンには全面液晶モニターを採用している。シートなどの素材はレザーフリーで、バイオプラスティックなども採用されている。

補充した水素を素材として、空気中の酸素と化学反応させて電気を生成する燃料電池のシステムは、ヒョンデが独自の技術で開発したもので、2019年のアメリカの「WardsAuto 10ベストエンジン」に選定され、クリーンであるのみならず、その安全性と耐久性も評価されたという。

⽔素タンクは内容積52.2Lのものを3本搭載しているが、タンクの衝突安全性を確保するため、タンク周辺には衝撃に強い⾼強度構造を採⽤している。燃料電池のシステムはフロントのボンネット内に搭載され、前輪を駆動する。3段階の空気浄化システムを備えて走行中の大気汚染を除去するネッソは、さながら「走る空気清浄器」ともいえるだろう。1回/約5分の水素充填で、約820kmの航続距離も実現している(WLTCモード/自社測定値)。

安全装備は前述のアイオニック5と同様、ヒョンデ スマートセンスをはじめ、先進のADAS機能を搭載して安心で快適なモビリティライフを提供する。ネッソはモノグレードで、車両価格は776万8300円。

ヒョンデ モビリティ ジャパンではディーラーを持たず、アイオニック5とネッソはオンラインのみでの販売となる。電動車のみのラインナップにオンラインのみの販売など、ヒョンデの今後の展開は注目を集めそうだ。(文と写真:Webモーターマガジン編集部 篠原政明)

画像: フローティングルーフやLEDのテールランプも採用している。

フローティングルーフやLEDのテールランプも採用している。

■ヒョンデ ネッソ 主要諸元

●全長×全幅×全高:4670×1860×1640mm
●ホイールベース:2790mm
●車両重量:1870kg
●モーター:永久磁石型同期電動機
●最高出力:120kW(163ps)
●最大トルク:395Nm(40.3kgm)
●バッテリー総電力量:1.56kWh
●100%充填基準走行可能距離:820km
●駆動方式:FWD
●タイヤサイズ:245/45R19
●車両価格(税込):776万8300円

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