2009年、世界的なヒットモデルとなったフィアット グランデプントが、仕様変更を受けて日本に上陸した。グレード体系がわかりやすくなり、ファブリックシートやダッシュボードがアップグレード、ボディカラーに新色が追加されている。ここでは国内で行われた試乗会の模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2009年9月号より)

レザーのステアリングやシフトノブを装備

欧州では2005年に発売を開始、またたく間に人気となり2008年には早くも生産100万台を突破、当時低迷していたフィアットの救世主となったクルマがこのグランデプントだ。日本では2006年6月に3ドアの6速MTモデル「1.4 16V スポーツ」が先行上陸、同年10月には5ドア+2ペダルMT仕様の4グレードが追加されている。(2007年11月にさらに「Kilo」を追加)

画像1: 2009年モデルは従来の5グレード展開から2グレードへと簡素化。最上級グレード「プラス」は従来の最上級グレード「Tera」の装備を引き継ぎながら価格を抑えた。

2009年モデルは従来の5グレード展開から2グレードへと簡素化。最上級グレード「プラス」は従来の最上級グレード「Tera」の装備を引き継ぎながら価格を抑えた。

そして今年5月には2009年モデルの販売が開始された。これまで装備違いによって、「標準」「Kilo」「Mega」「Giga」「Tera」と5グレードあったものを、「グランデプント」「グランデプント プラス」の2グレードに簡素化。両グレードとも新ボディカラーの追加や新型ファブリックシート採用などの小変更を受けている。

今回乗ったのはグランデプント プラス。デュアルゾーン式フルオートエアコンやリアパーキングセンサー、15インチアルミホイールにスカイドームと呼ばれるガラス面の広い電動サンルーフなど、充実の装備を誇るグレードだ。

2006年の日本上陸時に試乗して以来、久々の対面となったグランデプントだが、そのエクステリアの美しさは、なお色褪せることはない。フロントグリルに向けて絞り込まれた砲弾型のフェイスデザインは60年代のスポーツモデルを彷彿とさせる逞しさを持っているし、ヘッドライトからボンネット、そしてAピラーにかけての流れるようなボディラインは、全長4mそこそこのコンパクトカーとは思えないほど伸びやかに自我を主張する。

イタリアンモデルらしい粘り感のあるソフトな乗り味

新デザインとなったキーを挿し捻ってエンジンを始動させる。座面位置が低く、その独特なシートポジションには慣れが必要となるパンダや500に比べ、グランデプントはごく自然な感覚。さらにチルト&テレスコピックの調整範囲も大きいため、容易に自分に合ったドライビングポジションを取ることができる。

画像: ダッシュボードカラーが変更されたほか、レザーステアリング、レザーシフトノブを装備。

ダッシュボードカラーが変更されたほか、レザーステアリング、レザーシフトノブを装備。

トランスミッションは2ペダル5速MTのデュアロジック。ブレーキペダルを踏み、シフトノブを奥に押すと1速に入り発進が可能だ。ノブを左に倒すたびにマニュアル/オートの切り替えができ、右手前に引くと後退となる。

シングルクラッチ式の2ペダルMTをオートモードで走行すると、構造上どうしてもシフトアップ時に空走感があり、トルコン式ATに慣れた人にとってはそれを違和感と思ってしまいがちだが、今回乗った2009年モデルはかなり改善されていた。シフトチェンジのタイミングも適切で空走感も少ない。

ここまで洗練されたならば、市街地走行など日常使用でも積極的にオートモードを使いたくなる。また2ペダルMT搭載車は坂道発進で後ろに下がってしまうモデルも多いが、グランデプントはヒルスタートアシスト機能がついているため、ブレーキペダルを離しても1秒間は後退しない。

組み合わされるエンジンは、77ps/115Nmの出力/トルクを発生させる1368ccの直4SOHC。以前導入されていた3ドアモデル「1.4 16V スポーツ」の直4DOHCエンジンと比較すると、高回転までのレスポンスがもっさりとした感じなのは否めないが、それでもシフトノブを駆使してマニュアル操作すれば、思いのほかスポーツドライビングが楽しめる。

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