2021年12月22日に、高性能ハッチバックとして常に高い評価を受けてきた「ゴルフGTI」の新型モデルが日本に上陸した。当然、新型の出来栄えへの期待は高い。ここでは8代目の進化したポイントを解説しつつ、その走りをレポートする。(Motor Magazine2022年3月号より)

軽快にして重厚な操舵感洗練されたクルマの動き

いざ試乗してみると、フラット感の高さが気に入った。ベースモデルには、ゴルフ7よりも15mm短縮されたホイールベースの効果と思われる軽快さがある一方で、地に足がついた重厚感といった乗り味はやや薄れた感があった。

この点をゴルフGTIではどう料理してくるか興味深かったが、リアの足まわりの動きはしっかりと調律され、無駄なボディの動きがない。フロントへの多めな荷重移動からターンインの姿勢へと移行するFF特有の操縦性を生かしたベースモデルの走りに対し、ゴルフGTIでは従来型同様の落ち着きがある姿勢変化に起因する安定感が健在だ。軽快なハンドリングと重厚さを兼ね備えた走りで、納得できるレベルだ。

ボディに無駄な動きがないことで、4輪が常に路面を掴み続けている点も良い。荷重移動で車両の向きを変えていくのではなく、4輪のグリップを常に感じながら旋回を続けられる。アクセルペダルを踏み込んでいくと前後ともに沈み込み、FFでありながらリアから先にGが立ち上がってくるような力強さを感じる。駆動力を少しも無駄にせず、旋回力としてしっかりと使っている印象だ。

しかも、足まわりの動きが実にスムーズだ。とくにそれはコーナーリング中に感じた。ゴルフ7 GTIは反力があることでしっかり感を出していたのに対し、ゴルフGTIではグリップのピークまでは動きが一定に推移して、期待どおりにGがリニアに増していく。さらにクルマの挙動は研ぎ澄まされていて、ゴツゴツ感がなくスッキリしている。操作もしやすいうえに、ノイズや振動といった雑味もないので不満は一切ない。

足まわりの動きが洗練され、リアの追従性も高いことからボディは常に安定し、重厚さをキープ。そのうえ先述のとおりショートホイールベース化による軽快さもある。伝統と革新が融合して実現できたとも言えるハンドリング性能の進化はひときわ印象深かった。

もちろんビークルダイナミクスマネージャーの効果も大きいはずだが、その働きをあからさまに感じさせないのは、基本となるシャシ性能の高さの表れ。よくできたシャシが生み出す過渡領域の洗練された動きと制御効果のマッチングがこの上なく良いのだ。

画像: インパネのデコレーションパネルにもフロントグリルを連想させるメッシュの模様が入るなど、細部までGTIらしい仕様に仕立てられている。

インパネのデコレーションパネルにもフロントグリルを連想させるメッシュの模様が入るなど、細部までGTIらしい仕様に仕立てられている。

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