開発者が「あえてそうした」と言う、インテリアの印象
トヨタ初の電気自動車(BEV)となるbZ4X。BEV専用のプラットフォーム「e-TNGA(トヨタニューグローバルアーキテクチャ)」が採用されている。このプラットフォームはスバルと共同開発されたものだが、スバルでは「e-SGP(スバルグローバルプラットフォーム)」と呼ばれている。
特徴は、バッテリーを積む容量でボディサイズが可変できるなどフレキシブルな対応が可能であり、バッテリーを床下に敷き詰めることで低重心化、BEVに特化した高剛性化し、軽量ボディ構造としたことなどである。さらに床下にあるバッテリーの安全性を全方向で確保していることも挙げられる。
ところで車名の「4X」から、すべて4WDモデルか?と思ってしまうがFWDモデルも用意する。車名はカーボンニュートラルを目指すbZ(ビヨンドゼロ)、大きさを示す4(クラス)、ボディ形状を表すX(クロスオーバー)に由来する、つまりクラスの上下、少し小さいボディサイズのbZ3や少し大きいbZ5が今後用意されることも想像することができる。
今回はそんなbZ4Xのプロトタイプにクローズドコース(袖ケ浦フォレストレースウェイ)で試乗することができたのでその印象を報告する。その前にまずこのクルマの概要だ。
ボディサイズは、全長4690mm、全幅1860mm、全高1650mm(アンテナ含む)、ホイールベース2850mmとなる。欧州Dセグメントに相当するSUVである。
エクステリアデザインは、SUVらしさが力強く表現ざれている。BEVだということは、ボディ左右の給電口に付けられた「Electric」のバッジである。その他ではエンジンを冷やす必要がないためグリルが塞がれているとかマフラーがないところなどである。
エクステリアではひとつ気になることがあった。エアロスタビライザーフィンがどこにも採用されていないことだ。これまで空力に効果があるとトヨタの開発者から聞いていたので、当然、空力が重要になるBEVには装着されているものと思っていたが、それがどこにも見当たらないのだ。このあたりのことは、今度、開発者と話す機会があれば、ぜひ聞いてみたいと思っている。
インテリアの印象は、はっきり言うと、とても地味。開発者に聞くと「あえてそうした」と言うが、今、BEVを買う人は、もう少しBEVの未来感、先進感、電気自動車らしさを求めている人も多いのではないだろうか。
たとえば、バッテリーマネジメントもBEVに乗る楽しさのひとつだと思うが、そうしたことにはあまり配慮されていない。積極的にバッテリーを管理して走るためのエネルギーフローといったツールが用意されていないのである。
さらにサウンドにも気分を盛り上げるような工夫が欲しかった。エンジン音がないBEVは、室内に聞こえてくるサウンドづくりも必要だと考えているが、bZ4Xにはそれも用意されていない。もう少しそうしたギミックがあってもよかったのではないだろうか。