環境意識の高い欧州のドライバーを意識
日産の電動パワートレーンで、シリーズハイブリッドシステムの「e-POWER」が、ついに欧州初デビューを果たした。ガソリンエンジンを発電機として稼働させ、駆動はその電力を使ってすべてモーターで行う「e-POWER」は、日本ではノートをはじめセレナ、ノートオーラ、キックスに搭載される。その環境性能や静粛性の高さ、運転のしやすさなどから高い評価を得ている。ガソリンの給油だけで、充電を必要としないのも特長だ。
その恩恵を欧州にもということか、日産は3世代目へと進化して現地で人気のミドルサイズSUV「キャシュカイ」のパワートレーンに、「e-POWER」を設定することを決断した。その背景には、欧州のドライバーの70%が都会か郊外でハンドルを握る上、環境への意識が高いことを挙げられるという。
新型「キャシュカイ」に搭載される「e-POWER」は、発電用1.5Lターボエンジン(156hp)に140kW(188hp)の駆動用モーターを組み合わせたものとなる。1.5Lターボエンジンには、日産自動車のプレミアムブランド「インフィニティ(INFINITI)」で採用されているVCターボ(可変圧縮比技術)が投入されている。圧縮比を8:1から14:1まで連続可変させることで、燃焼の効率化が図られるというものだ。当然、環境面への寄与も高い。
もちろん、アクセルだけで加減速ができる「ワンペダル」も日本仕様と同様に使うことができる。駆動はFFのみだ。ちなみに、新型「キャシュカイ」のパワートレーンには、「e-POWER」のほかに103kw(138hp)と116kW(156hp)の2種類の最高出力を選べる、1.3Lマイルドハイブリッド(MHEV)がすでにラインアップされている。
生産拠点の理由や、同じくe-POWER(VCターボではない)搭載のコンパクトSUVキックスを展開している日本市場に、キャシュカイが投入される可能性は薄い。しかし、VCターボ+e-POWERはおそらく次期エクストレイル&ローグにも搭載され、もちろん日本市場でも展開されるだろう。新型エクストレイル発表時期にまつわる正式なアナウンスはまだないが、こちらも期待してしまう。