軽やかでコーナリングが楽しい4気筒エンジン搭載のマカン
今回は新しいマカンとマカンGTSの2台に試乗した。普通に考えれば、マカンGTSのほうがすべての面で上質かつパフォーマンスが高いという結論に落ち着きそうだが、実際には、2台の位置づけは単純な上下関係ではなく、場合によってはマカンがマカンGTSを凌いでいるケースもあったので、順に紹介していこう。
先にハンドルを握ったのは4気筒エンジン搭載のマカン。記憶にうっすら残っている先代に比べると、サスペンションの動き出しがスムーズになり、よりしなやかで快適な乗り心地に感じられた。そのいっぽうで、素早い周期の振動がそのままバネ上に伝えられたり、大きなバンプを強行突破するとボディの上下動が1回では収まらず、1周期半の揺れでようやく収まる傾向も認められた。もっとも、これらも重大な弱点とはいえず、乗り心地の洗練度でいえばマカンが引き続きクラストップに立っているように思う。
ステアリングが正確でインフォメーションが豊富なことはポルシェの定石どおり。しかも、4気筒エンジンを積んだノーズが、操舵にあわせて右へ左へと小気味よく向きを変える軽快さを味わえる。それも、フワフワとして落ち着きのない挙動ではなく、前後のタイヤがしっかりと路面を捉えている感覚が強い。この軽快感と安定感のバランスはSUVでは得がたいもの。いや、より重心が低いセダンでさえ、マカンと同じレベルのモデルは決して多くないといってもいいだろう。
エンジンのキャラクターも、こうした軽快なハンドリングにぴったりとマッチしている。その特性は、トップエンドでパワーが炸裂するというよりも、2000〜4000rpmの中回転域でトルクがレスポンスよく溢れ出てくる印象。おかげでクルマがグンと軽くなったように感じられるのだ。
つまり、ハンドリングもパワートレーンも、マカンをより軽快に走らせるのに役立つ性格に仕上げられていたのである。結果としてドライバーはより自信を持って、そのハンドルを握っていられる。だから、安心して積極的にコーナリングを試せるのはもちろんのこと、たとえそこまでではなくても、いつでも意のままにコントロールできる満足感をマカンは味わわせてくれるのだ。