2009年、3月のジュネーブ国際モーターショーでデビューを飾った5世代目ポロの販売が、欧州で早くも6月末から開始されている。日本上陸は翌2010年となったが、それに先立ちイタリアのサルディニア島で行われた国際試乗会の模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2009年9月号より)

まとまりのいい1.2TSI、1.4Lも期待以上の出来だ

さて、ニューポロにはガソリン4種、ディーゼル3の計7種のエンジンがラインナップされる。中でも注目されるのが、新開発となる1.2TSIエンジンだ。最高出力は105psで最大トルクは175Nmを発揮する。ゴルフに搭載される1.4TSI(122ps/200Nm仕様)より、排気量、パワーなどすべてが13%前後低く抑えられたポロのためのパワーユニットだ。そして、これには標準の6速MTの他に、オプションで乾式7速DSGが用意される。

他にガソリンエンジンは3種用意されるが、1.2Lの2種(60psと70ps)は日本へは導入されず、新たな電子制御機構と燃料噴射装置を備えた1.4Lエンジンが、1.2TSIともに日本仕様に搭載される。日本導入は1.4Lエンジン+7速DSGが先行して年内、1.2TSI+7速DSGは欧州でも販売は年内メドとなっており、日本へ来るのは来年の半ばくらいになるようだ。

画像: 第5世代に進化したフォルクスワーゲン ポロ。あらゆる面で完成度をさらに高めていた。

第5世代に進化したフォルクスワーゲン ポロ。あらゆる面で完成度をさらに高めていた。

初めに試乗したのは1.2TSIの6速MTだ。日本へは導入されない仕様だが、エンジンの性格を見るにはいいと思って走り出した。ところがまず感じたのはボディ剛性の高さだった。この点だけでも従来モデルより確実にワンランク上のクルマになったと言える。この剛性アップはボディ単体を7.5%、クルマ全体を2.5%軽量化する中で達成されたものであるというからその効果は絶大だ。

タイヤは215/40R17のスポーツタイプを装着していたこともあり、乗り心地はしなやかで、しかもシャキッとしていた。ハンドルを切ったとおり、ラインをきれいにトレースしていくというイメージだ。しかも、静粛性も高い。

従来のポロはゴルフとは明らかに次元が違う世界にあったが、今度のポロはゴルフと対等、場合によっては優る部分もあると感じられた。要はボディが大きいか、小さいかという差異こそあるが、内容的には両車互角ということだ。小さいことが有利に働く局面ではポロ、大きいことが有利に働く局面ではゴルフに軍配が上がる。

さて、肝心のエンジンだが、これは見事なダウンサイジングだという印象だ。1.4TSI(122ps)の性能をあらゆる面で少しずつ削ぎ落としているのだ。そのためトルクの出方や回転が上がるフィーリング、過給器の働き方などから受けるエンジンの性格がそっくりなのだ。これで燃費は3気筒の60psユニットと同レベルというのだから文句の付けようがない。期待どおりの出来映えと言えるだろう。

画像: MPI(マルチポイントインジェクション)の1.4Lエンジン。従来モデルより5psパワーアップしている。

MPI(マルチポイントインジェクション)の1.4Lエンジン。従来モデルより5psパワーアップしている。

次に試乗したのは1.4Lエンジンの5速MT仕様だ。このエンジンは従来モデルから搭載しているものをリファインしたタイプ。最大トルクは132Nmと変わらないが、最高出力は5psアップして85psとなっている。そして、これが予想外によかった。軽やかによく吹け上がるし、エグゾーストノートもスポーティだ。タイヤは195/55RR15を装着していたが、このサイズとのマッチングもいいのだろう。クルマ全体から感じ取れるコンパクトカーらしい爽やかな軽快感という点では、1.2TSIを上回るものがあった。エンジン単体としても数字ほどには1.2TSIとの差は感じられなかった。 

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