2009年5月、6代目ゴルフのスポーツモデル「ゴルフGTI」が日本市場でデビュー、9月に販売が開始された。欧州で発表されて以来注目していたMotor Magazine誌は、日本にゴルフGTIが上陸するや、早速特集を組んで試乗テストを敢行している。ここではその興味深い試乗テストの模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2009年10月号より)

乗り心地もスポイルされないノーマルモード

高速道路を100km/hくらいで走行中に突然、先行車がブレーキを踏んだ。そこで普通よりちょっと強めのブレーキを掛けようと思ったら、ブレーキ力(パッドのミュー)の立ち上がりが遅く、期待するほどの初期制動力が出なかった。またサーキットでも、強いブレーキと弱いブレーキの中間を使おうとすると、強いか弱いかのどちらかに振られてしまってコントロールしにくいことがあった。ブレーキパッドは前後とも日本仕様に変更されているが、せめてGTIでは、オリジナルの仕様を選べるようにしてもらいたい。

画像: 赤いボディカラーの試乗車ゴルフGTIは、オプション装備なしの標準仕様。タイヤは17インチ。

赤いボディカラーの試乗車ゴルフGTIは、オプション装備なしの標準仕様。タイヤは17インチ。

高速を降りて、道幅の狭いタイトターンばかりのワインディングロードに入ると、今回の取材前に箱根のワインディングで試乗したときよりも17インチ仕様の印象が良くなった。

箱根では、しなやかなサスペンションは快適だが、GTIならもう少し締まっていてもいいのではないか、と感じていたからだ。しかしここではタイトターンをセオリー通りのドライビングできれいに抜けてくれた。XDSの効果は、コーナーでアクセルペダルを少し早めに踏み込んだときでもアンダーステアを出さずに立ち上がっていくことでが実感できた。

翌日、サーキットを走ったときにも、17インチのGTI標準サスペンションはDCC付き18インチとのタイム差がないに等しく、素晴らしい味付けになっていることがわかった。

そのDCC付き18インチGTIでも市街地、ワインディングロード、サーキット、高速道路を走行したが、どんな道でもノーマルモードが一番良かった。このノーマル状態では、GTI標準のサスペンション仕様よりも硬めになるが、ストローク感はたっぷりあるし、乗り心地がスポイルされていない。コンフォートモードは、当たりはソフトになるが揺れは大きくなる。スポーツモードでは、周波数の高い揺れが増えてしまい、しなやかさが減るために、路面をホールドする感触も薄くなる。

快適性と乗りやすさの向上、進化した走り味の楽しさ

先代のゴルフGTIのほうがコーナーへのターンインの動きにシャープさがあるが、新型GTIはそのあとハンドルを切り込んでいったとき、アクセルペダルを踏み込んでいったときにもアンダーステアが弱く、ドライバーの意思どおりに曲がってくれる。切り始めのシャープさも、DCC付き18インチでノーマルモードを選べば、先代と遜色ない。

画像: タイトターンをセオリー通りのドライビングできれいに抜けるゴルフGTI。XDSの効果は大きく、アンダーステアを出さずに立ち上がっていくことができた。

タイトターンをセオリー通りのドライビングできれいに抜けるゴルフGTI。XDSの効果は大きく、アンダーステアを出さずに立ち上がっていくことができた。

市街地走行や渋滞のときには、GTIの湿式クラッチの6速DSGはTSIハイラインの乾式クラッチの7速DSGよりクリープが強い設定なので、普通のATのような走り方で自然だった。坂道発進でも、2秒間のヒルスタートアシストがあるが、それが終わっても6速DSGはクリープが強いから後退しにくい。ATから乗り換えても違和感ない走りができるということだ。

エンジンは、停止からの発進の瞬間に、ターボモデルだということがよくわかる。ペタッとアクセルペダルを全開にするとスーッと発進してくれるのだが、最初はパンチのない加速だ。ただしタコメーターが2500rpmを示すくらいからは強烈なトルクが出て加速力も急激に高まる。このとき路面が濡れていたり、登り坂で前輪への荷重が少し軽かったりするとホイールスピンが起こる。時には、ジャダーも出る。この辺は圧縮比を下げてパワーを出すようにしたデメリットかもしれない。

3日間の試乗を終えて新型ゴルフGTIは、より上質で楽しいクルマに仕上がっていると感じた。乗り心地を中心とした快適性が向上したことと、XDSによりアンダーステアが出にくくなったことが印象的だったし、進化した部分でもある。そして、クセがなく誰にでも勧められるゴルフの良さと、GTIの個性が融合した魅力的なクルマであること、その価値も不変だった。

これから先、小さなボディでもっとキビキビ走りそうなポロGTIも登場するだろうし、スタイリッシュなパサートもライバルとなるかもしれない。将来的にはRモデルも用意されているだろう。それだけにゴルフGTIは、フォルクスワーゲン車の中でも際立たなくてはいけない存在である。

社内のライバルに勝つために備えた実力は、社外のライバルに対しても有効なわけで、新型GTIは、より上昇志向が強まっていると感じられた。(文:こもだきよし/写真:永元秀和、小平 寛)

フォルクスワーゲン ゴルフGTI 主要諸元

●全長×全幅×全高:4210×1790×1460mm
●ホイールベース:2580mm
●車両重量:1400kg
●エンジン:直4DOHCターボ
●排気量:1984cc
●最高出力:155kW(211ps)/5300-6200rpm
●最大トルク:280Nm/1700-5200rpm
●トランスミッション:7速DCT(DSG)
●駆動方式:FF
●10・15モード燃費:13.0km/L
●タイヤサイズ:225/45R17
●0→100km/h加速:6.9秒
●最高速:238km/h 
●車両価格:366万円(2009年)

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