X3とX4をとおしてBMWの戦略が明確に見えた
今回、試乗した4台は4気筒のガソリンとディーゼル、6気筒のガソリンとディーゼルという計4種類のエンジンを搭載。X3にはさらに4気筒ガソリンのプラグインハイブリッドが用意されるほか、BEVのiX3も含めればパワーユニットは合計で6種類になる。ひとつのセグメントにこれだけ多種多様なパワーユニットを用意している輸入車メーカーは、BMWだけだろう。
しかも、ボディはSUVとSUVクーペの2タイプを用意。2台の間には全高に50mm以上の差があるものの、身長171cmの筆者が腰掛ける分にはどちらも十分な室内スペースを備えていた。それはリアシートも同様。ただし、180cmを越える乗員がX4の後席に座るとやや窮屈に感じるかもしれない。この点ではX3のほうが有利だ。
私が計った範囲でいえば、ラゲッジスペースの床面積もX3とX4で変わらなかった。ただし、高さ方向に関してはx3のほうがたっぷりとしており、これが25Lという荷室容量の差につながっている模様。ただし、その差も決定的な違いとはいえないので、スタイリングの好みでX3かX4かを選ぶのが正解だろう。
以前、BEVがデザインに与える影響をジューケッツ氏に質問したところ、彼は「ひとつのボディに多様なパワートレーンを用意するのがBMWの戦略。どれを選ぶかはお客様次第」という趣旨のことを言っていた。なるほど、X3とX4はジューケッツ氏が主張したとおりのことを実現している。
それはレギュラーモデル、Mスポーツ、Mパフォーマンス、Mハイパフォーマンスの4タイプを揃えたグレード体系についても同様。この幅広い選択肢にこそ、BMWの魅力の根源があるといえる。(文:大谷達也/写真:永元秀和)
BMW X3 xDrive20d主要諸元
●全長×全幅×全高:4720×1890×1675mm
●ホイールベース:2865mm
●車両重量:1880kg
●エンジン:直4DOHCディーゼルターボ
●総排気量:1995cc
●最高出力:140kW(190ps)/4000rpm
●最大トルク:400Nm/1750-2500rpm
●トランスミッション:8速AT
●駆動方式:4WD
●燃料・タンク容量:軽油・68L
●WLTCモード燃費:14.5km/L
●タイヤサイズ:245/50R19
●車両価格(税込):733万円
BMW X3 M40d主要諸元
●全長×全幅×全高:4725×1895×1675mm
●ホイールベース:2865mm
●車両重量:2050kg
●エンジン:直6DOHCディーゼルターボ+モーター
●総排気量:2992cc
●最高出力:250kW(340ps)/4400rpm
●最大トルク:700Nm/1750-2250rpm
●モーター最高出力:8kW(11ps)/10000rpm
●モーター最大トルク:53Nm/500rpm(原動機始動時)、35Nm/2500rpm(原動機アシスト時)
●トランスミッション:8速AT
●駆動方式:4WD
●燃料・タンク容量:軽油・68L
●WLTCモード燃費:13.8km/L
●タイヤサイズ:前245/45R20、後275/40R20
●車両価格(税込):920万円
BMW X4 xDrive30i Mスポーツ主要諸元
●全長×全幅×全高:4765×1920×1620mm
●ホイールベース:2865mm
●車両重量:1850kg
●エンジン:直4DOHCターボ
●総排気量:1998cc
●最高出力:185kW(252ps)/5200rpm
●最大トルク:350Nm/1450-4800rpm
●トランスミッション:8速AT
●駆動方式:4WD
●燃料・タンク容量:プレミアム・65L
●WLTCモード燃費:11.8km/L
●タイヤサイズ:245/50R19
●車両価格(税込):854万円
BMW X4 Mコンペティション主要諸元
●全長×全幅×全高:4760×1925×1620mm
●ホイールベース:2865mm
●車両重量:2020kg
●エンジン:直6DOHCツインターボ
●総排気量:2992cc
●最高出力:375kW(510ps)/6250rpm
●最大トルク:650Nm/2750-5500rpm
●トランスミッション:8速AT
●駆動方式:4WD
●燃料・タンク容量:プレミアム・65L
●WLTCモード燃費:9.1km/L
●タイヤサイズ:前255/40R21、後265/40R21
●車両価格(税込):1365万円