グランドツーリングも似合いそうな「おそらく最後」のウラカン
STOは「最後のウラカン」ではなかった。もちろんサーキットユースでのフルスペックを究めている以上、パフォーマンス面ではまさにランボルギーニV10ユニット搭載車としての最高峰に立つ。磨き抜かれた空力性能だって、ウラカン史上最高の完成度だ。
とはいえこのSTO、「決定版」であることは確かだけれど、ストリートで乗りこなすには、それなりの覚悟とセンスが必要になりそうなスーパーモデルだった。巨大なウイング、切れ味鋭いエッジ感など、容赦なく周囲を威圧するアピアランスはいかんせん、非日常的なフェロモンが強すぎる。
しかし2022年4月15日、新たにラインナップに加わったウラカン テクニカは、トラックでもロードでも、ウラカンらしさが際立つシリーズとしてのまさに「集大成」と言えるだろう。
STOの優れたパフォーマンスを受け継ぎながらも、スタイルや快適性など、日々寄り添いながら時間を過ごすことのできるロードカーとしての魅力まで、磨き抜かれているのだ。
パワートレーンはSTO譲り。スペックはちょうど中間点
搭載される5204cc V型10気筒自然吸気エンジンは、最高出力640ps/8000rpm、最大トルク565Nm/6500rpmを発生。スペックはSTOと同じだが、公表されている最高速は325km/hと、15km/hほどSTOを上回っている。
一方、0→100km/h加速は3.2秒、0→200km/h加速が9.1秒と、それぞれコンマ1~2秒ほど「遅い」。しかしこれまでストリート最高だったウラカンEVO RWDに対しては逆に、テクニカがコンマ1~2秒ほど速い。
ここまでくればいずれにせよ異次元の高性能マシンであることは疑いようがないけれど、ダイナミック性能でもしっかりEVO RWDとSTOの中間にあるわけだ。
さりげなく、多彩な新世代デザインのコンセプトを盛りもり
メカニズムとは対照的に、ウラカン テクニカのデザインは唯一無二と言っていい。その進化は、さまざまな「次世代ランボルギーニ」たちからインスピレーションを受けている。
シルエット自体はEVO RWDとそれほど変わりないように見えるが、本質的には2021年に発表されたサーキット専用モデル「エッセンツァ SCV12」に由来している。ボディのディメンジョンは全長がEVO RWDよりも47mm長いが、数字以上に低くワイドに見える。
RWDとの世代の違いを強く印象付けているのは、一新されたフロントマスクだろう。こちらのデザインは、2017年に公開された電動スーパーカーのコンセプトモデル「テルツォ・ミッレニオ」がモチーフとなっている。