2022年秋から限られたユーザー向けに販売することが発表された、BMW プロトタイプ iX5 ハイドロジェン。その少数量産モデルの最終寒冷地テストがスウェーデンで行われた。(Motor Magazine 2022年5月号より)

今後10年でBEVと同価格、同航続距離を目指すBMW

さて、X5をベースにしたiX5ハイドロジェンはセンタートンネルとリアアクスル前方にT字型に2本の水素ボンベをレイアウト、700バールに加圧した水素の合計重量は6kgで充填時間は約4分である。この水素はミライに搭載されているものと同一のスタックを介して酸素と結合し、125kW(170ps)の電力を発生、同時に余剰電気エネルギー力を前述のバッファー電池に充電する。

画像: バッファー電池は150kWのパワーを有し、ブースト効果でFCと合わせてシステム出力 275kWを発生する。

バッファー電池は150kWのパワーを有し、ブースト効果でFCと合わせてシステム出力 275kWを発生する。

このバッファー電池は150kWのパワーを有し、ブースト効果でFCと合わせてシステム出力275kW(374ps)を発生。また2.3kWhの電力容量を持っているので、この電池だけで最大で15kmを走り切ることもできる。つまりBMWの考えるFCEVはパワーPHEVと同じようなパフォーマンスを発揮することができる。

さて、気温マイナス6度Cのテストコースに現れたX5をベースにしたハイドロジェンバージョンはボディサイドの「HYDROGEN FUEL CELL」のロゴはもちろん、各所がブルーのアプリケーションで区別される。

インテリアはテスト用の機材が搭載されているが、基本は他のモデルでも見慣れたBMWオペレーティングシステムを持ったデジタルスクリーンが並んでいる。マイナス20度Cまで運転が可能なiX5ハイドロジェンのスタートは簡単で、スロットルペダルを踏み込むだけで即座にパワーを発生する。

開発担当のロベルト・ハーラース氏は今後もFCEVの開発を続け、今後数年の間にはBEVと同価格、同航続距離を提供するとその意気込みを語っている。またそれまでには水素ステーションもおよそ150~100km間隔で建設されるはずである。既存のガスパイプラインを使って供給が可能な水素は電気のように「グリッド」内にいる必要がないのも大きな強みなのである。(文:アレキサンダー・オースルテン<キムラ・オフィス>/写真:キムラ・オフィス、BMW AG)

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