ボルボといえばステーションワゴンやSUVのイメージが強いが、このところ「ボルボのセダンは美しくてカッコいい」と評価が高まっているという。では最新の「ボルボのセダン」とはどんなクルマなのか。スウェディッシュセダンはドイツのプレミアムセダンとどう違うのか。S90 B6 AWD インスクリプションとS60 B5 Rデザインの試乗をとおして検証してみた。(Motor Magazine 2022年5月号より)

ゆったりとした室内空間を持つ最上級サルーンのS90

前述のとおりS90は2017年のデビュー。そのボディは全長5メートルに迫る立派なもので、ボルボの最上級サルーンに相応しい風格を体現している。デビューした時点では、いずれも2L 4気筒エンジンを搭載し、チューニングレベルによりT5とT6の2グレードを用意していたが、当初より500台の限定販売との位置づけで、日本での販売はとうに終了していた。それが、市場からの熱烈な期待に応える格好で、今回、再発売されることになった。

発売から5年を経て、S90のスペックは微妙に変化した。エンジンは2L 4気筒で基本的に変わらないものの、新たに48Vマイルドハイブリッドシステムを搭載。グレード名はS90 B6 AWDインスクリプションとされた。

運転席に乗り込んでまず印象に残るのは、そのキャビンが実に広々としていること。とくに幅方向の広さが印象的で、幅広なセンターコンソールを採用してもなおドアとの間に余裕あるスペースが確保されており、ゆったりと寛ぐことができる。

水平方向に長く伸びるダッシュボードのデザインも、視覚面からキャビンの広さを強調しているかのようだ。また、ダッシュボード中央に取り付けられたセンターディスプレイの表示は、新たにグーグル系のインフォテインメントシステムが搭載され、UIが変更された。

画像: 水平方向に長く伸びるダッシュボードのデザインが特徴的。視覚面からキャビンの広さを強調する役目も果たしている。

水平方向に長く伸びるダッシュボードのデザインが特徴的。視覚面からキャビンの広さを強調する役目も果たしている。

クーペライクなデザインでも余裕のある後席スペース

2940mmというロングホイールベースの恩恵により後席のスペースも余裕があり、身長171cmの私であれば軽々と足を組むことができる。頭と天井との間にも10cm近い空間が残されていたが、これはS90のようなクーペライクなセダンとしては異例の広さといっていい。

エンジンを始動して走り出すと、高負荷時には4気筒らしいビート感がかすかに認められたものの、決して騒がしいとか振動が大きいとは思わなかった。これで高回転時にもう少し色気が感じられればいうことはないだろう。

乗り心地は、全般的にはゆったりとした印象。路面のうねりに足まわりが素直に追従していく、大型セダンとしては王道ともいえる味付けである。ただし、路面の段差を乗り越えたときに、軽くコツコツというショックを伝えるのはやや惜しいところ。しかしこれもスポーティなハンドリングの代償と考えれば、受け入れ難いとは言い切れない。

最近のプレミアムサルーンらしく、タイヤの接地状態がステアリングフィールとして克明に伝えられることは少ないものの、しなやかな足まわりがコーナリング時、柔軟にストロークするので、タイヤにどの程度の負荷がかかっているかを想像するのは難しくない。しかも、基本的なスタビリティは高く、車速域や路面の状態にかかわらず安定したコーナリングを示してくれるので、その意味でも安心感は強いといえるだろう。

それにしても、S90のコーナリング性能は驚くほど高い。多少意気込んでコーナーに進入しても、何食わぬ顔でスッと走り抜けてしまうほどのポテンシャルを備えているのだ。

その理由の一端は、試乗車がミシュラン パイロットスポーツ4というスポーツ性能の優れたタイヤを履いていたことも関係しているが、これだけのタイヤを履きこなしてしまうS90のシャシも大したものである。ゆったりとした乗り心地と優れたコーナリング性能がもたらす二面性こそ、S90の特徴なのである。

画像: ゆったりとした乗り心地に高いコーナリング性能をあわせ持つS90。

ゆったりとした乗り心地に高いコーナリング性能をあわせ持つS90。

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