世界の急速充電規格は、大きく分けて4つの勢力がしのぎを削る
2022年4月現在、電気自動車(EV)の急速充電には大きく分けて4つの規格が存在している。リージョンごとの特性に合わせて各国のサービスプロバイダーが規格を選択し、時に組み合わせながら、快適な充電環境の提供を行っている。
日本発の急速充電規格「CHAdeMO」は日本を中心にアジア圏で強いと言われている。それに対して北米、欧州ではCCS(Combined Charging System:通称コンボ)の設置が急拡大しており、中国では独自のGB/Tがもちろん主流、さらにテスラが独自のスーパーチャージャーシステムを戦略的に展開している。
そんな世界の充電性能競争の主流は、大出力充電への対応に他ならない。長距離を走る機会が多い欧米ではEVにも、一充電での航続距離の長さと充電時間の短縮化が必須となる。欧米ブランドでは大型、高価格の強みを生かして、大容量・高電圧なリチウムイオンバッテリーを搭載できるプレミアムクラスのEVラインナップが着実に増えていることも、関係しているだろう。
トレンドに乗るように、実際の運用における「速さ」を思い切りアピールしているのは、コンボだ。ダイムラーAG、フォルクスワーゲンなどドイツ系大手自動車メーカーの合弁事業として2017年から展開が始まっているIONITY(アイオニティ)では、コンボ規格の高性能ぶりが注目されている。
「コンボ規格」は充電速度も勢力拡大も、やたらとスピーディ
コンボは超急速充電規格として最大350kWをすでに実用化。IONITYでは高速道路だけでなく主要都市近くの一般道にも複数台のEVが同時に充電できる充電ステーション「Oasis(オアシス)」の設置を計画しているという。最近ではヒョンデなど欧州以外のブランドまで事業に参画し始めるなど、着々と勢力を拡大している。
グローバルでCSSの普及を進めている協会団体「CharIN」のデータでは、2022年5月4日現在、世界で4万3000カ所を超える急速充電ポイントが設置されているという。ちなみにほぼ1年前は、3万4000カ所ほどだった。
対する日本のCHAdeMOはといえば、グローバルでの設置は確かに着実に進んではいるようだ。
CHAdeMO協議会の調べによれば、海外も含めた設置箇所は、2020年5月に3万2300カ所→2021年5月に4万910カ所と増えている。しかし国内での展開は同じ1年間で7700カ所のまま変化していない。国内での設置場所の割合はほぼ半数が自動車ディーラーであり、駐車場、ショッピングセンター、コンビニエンスストアほかの施設附帯が37%、それ以外が13%となっている。
ポイント数の伸び悩みはもちろん気になるがそれ以上に、展開当初に日本全国に普及した「チャデモプロトコル1.0」からの進化がなかなか進んでいないことは気がかりだ。
最大電圧500V、最大電流125AのDC急速充電規格は、実効充電出力が最大でも50kWがやっと。実質的には20~30kWくらいしか出ていない機器もある。350kW当たり前!を謳いつつあるコンボの勢いを見るにつけ、正直「羨ましい」と思ってしまう。