補助金の勢いで一気に増えたものの、老朽化などの問題も発生
そんなCHAdeMOも、仕様改定はもちろん行われてきた。2017年の規格改定では最大電圧500V、最大電流が400Aまで引き上げられている。おかげで150kWへの対応は可能になっている。ちょっと進化した仕様ということで、通称「チャデモ1.2」と呼ばれる。
しかし実際には、チャデモ1.2に対応したインフラの整備は当初予定よりも大幅に遅れている。その理由のひとつが、日本国内でのEVの普及がなかなか進んでいないため。わかりやすく言えばインフラを設置しても、もとがとれない状況が続いているのだ。進化に投資することなく営業をあきらめてしまう施設もある。
いわゆる「継ぎ足し」と呼ばれる経路上での充電施設がガソリンスタンドのようにビジネスとして確立するためには、日本国内で走っているプラグイン可能なEVとPHEVの数を現在の5倍ほどまで増やす必要がある、という話も聞かれる。
2014年には政府からの大型補助金の後押しもあってコンビニなどにも設置が進んだが、それも駐車スペースなどにゆとりのある地方が主。都心では充電設備を置くスペースは少なく、気づけば当初設置された施設の老朽化、廃止という課題も生まれている。
しかも充電時間が30分に限られているケースがほとんどということで、充電してもわずかしか航続距離が回復しないこともある。これでは移動中も常に充電のことが気になって仕方ない。加えて老朽化した充電スポットの中には時に、故障したままで半分放置されているようなインフラも散見される。こうなるとEVで気軽なロングドライブを楽しむには、なかなかハードルが高い。
実はそうとうハイスペックな「チャデモ3.0」。ビジネス化には課題が
実はCHAdeMOは技術的にはすでに、コンボに負けない超々急速充電を可能にしている。それが中国と共同で開発した次世代規格「ChaoJi(チャオジ)」だ。2020年、「チャデモ3.0」として正式に発表されたこの規格なら、最大充電電流は600A、実効充電出力は500kWを超える。技術的には最大900kWまで可能だというから、やる気になればどこまで充電時短が進むのか、ちょっとワクワクする話ではある。
CHAdeMO事業を統括するチャデモ協議会によればしかも、このチャデモ3.0はGB/Tを始めとるす他の急速充電規格との後方互換性が確保されているという。もっとも、「次世代の世界統一規格」というプライオリティの高さはもちろん魅力だけれど、やっぱり一番気になるのは、私たちが普通に使おうと思った時に、チャデモ3.0ならどれほど便利になるのか、というところなのだが。
もちろんどうせだったらドドーンと350kW級の導入を早急に期待したいところではある。とはいえどちらかと言えば短距離利用が中心の日本のカーライフを考えるなら、欧米並みの「速さ」はオーバースペック=割高になりかねない、という声も聞こえてくる。そのあたり、充電スペックと充電代のちょうど良い塩梅を考えていく必要があるということだ。