ワインディングロード×スポーツモードでは、まさに「豹変」する
乗り心地のインパクトが大きかったが、動力性能も同様のことが言える。搭載されるエンジンは、2.4L直噴ターボ「DIT」で、最高出力275ps/5600rpm、最大トルク375Nm/2000-4000rpm。従来の2Lから排気量をアップしたことで、低回転域からトルクがあり、しかもアクセルペダルに対するレスポンスもいい。「ゆとり」があるエンジンフィールだ。でも、やはり、急き立てられる感じはない。
高速道路もシンメトリカルAWDと剛性感の高いシャシのおかげで安心感高く走れる。そして、何より心強いのは「アイサイト」によるクルージングだ。ちゃんと車線の真ん中を走るし、カーブの曲率をなぞる操舵も滑らかな動きで安心感が高い。料金所まで認識してくれるのだから、快適この上なく、しばし、アイサイトにドライブを託してしまった。
好印象ではあるものの、これではスポーツセダンとしての面目がない。が、ワインディング路に入り、ドライブモードをスポーツにして走り出すと、ものすごいキャラ変。アクセルペダルを踏み込8速に刻まれたギアとの相性もよい。
そして、ここで気づいた。スバルパフォーマンストランスミッションはCVTなのだが、いわゆるラバーフィールがなく、ダイレクトだし加速フィールもまったく違和感がない。CVTにネガティブなイメージを持つ人も、これなら印象が変わるだろう。いや、言われなければCVTだとは思わないだろう。そして、シャシもキャラ変により、かなり安定しながらクイックにコーナーを曲がっていく。何の妥協もなく、AWDスポーツの醍醐味を味わえる。
スポーツカーを買うとなると、なかなかハードルが高い。居住性とスペースユーティリティが悪い、奥さんが運転できない、などなど。その点、WRX S4は、普通使いとして乗っても不満はなく、パフォーマンスを引き出せばスポーティにも走れるから、1台で2度、いや、ドライブモードのチョイスや走行シーンに応じて、何度でも美味しいクルマだ。