2030年までに全モデルを電動化するという目標を掲げたボルボ。今回の特集では、その目標に向けて前進するボルボの最新ラインナップたちの実力を検証してみたい。そうしたモデルの中でも、ボルボ初のBEV専用モデルとして登場した「C40リチャージ」は、オンライン販売やサブスクリプションを導入するなど、次世代のボルボを象徴するまったく新しいモデルと言える。果たしてその実力はどういったものなのだろうか。 C40国際試乗会にも参加した大谷達也氏が国内でも試乗、あらためて感じた印象を報告する。(Motor Magazine 2022年6月号より)

体感上の「速さ」はXC90を凌いでいるかもしれない

サスペンション形式は、フロントがマクファーソンストラット、リアがマルチリンクとなるのは既存のXC40と同じ。いっぽうでパワートレーンがまったくの別物であることはいうまでもない。

画像: 基本的にはモーターによる静かで滑らかな乗り味が特徴だが、右足を強く踏み込んだときの加速感は痛快だ。

基本的にはモーターによる静かで滑らかな乗り味が特徴だが、右足を強く踏み込んだときの加速感は痛快だ。

今回、日本に導入されたC40リチャージ ツインは前後車軸に1基ずつ、計2基のモーターを搭載した4WD仕様で、最高出力は408ps/4350−13900rpm、最大トルクは660Nm/0−4350rpmを誇る。なお、C40に搭載されるのは高性能で制御性に優れたシンクロナスモーターである。

既存のボルボで最強のパワートレーンといえばXC90やV90に搭載されるシステム合計出力462ps
/709NmのT8だが、C40はモーターが素早く立ち上がるため、体感上の速さはそれよりも上だ。ちなみに欧州で発表されている0→100km/h加速タイムは4.7秒だから、ちょっとしたスポーツカー並みの速さだ。いっぽうで最高速度が180km/hに制限されているのは最新のボルボに共通するスペックで、同社の安全思想を反映したものといえる。

27のモジュールからなるリチウムイオンバッテリーの総容量は78kWhで、このうち75kWhが実際に使用可能な容量とされる。また、日本のカタログには電力消費量が187Wh/h、一充電で485km(WLTC)の走行が可能と記されている。

なお、C40には追って前輪駆動モデルも登場する。こちらはフロントに最高出力231psのモーター1基を搭載。バッテリー容量は69kWhとやや小ぶりで、航続距離は欧州で434km(WLTP)と発表されている。

スタイリッシュなデザインと優れたパッケージングを両立

続いて、C40のパッケージングについて紹介しよう。前述のとおり、C40の全高はXC40より65mm低い1595mmだが、シートポジションはC40とXC40で共通とされた。ただし、このままではXC40に比べて頭上のスペースが減少するので、C40では全車にパノラマガラスルーフを採用。ルーフライナーを省略することで十分なヘッドクリアランスを確保するとともに、視覚的にも明るく広々としたインテリアを実現した。

画像: ボルボの未来を象徴する次世代のクーペSUVである。

ボルボの未来を象徴する次世代のクーペSUVである。

また、ルーフは両サイドが盛り上がった形状で、これがそのままルーフ後端まで伸びてルーフスポイラーを形作っているが、実は、このデザインはハッチゲートを固定するヒンジを覆い隠すことにも役立っているという。

このルーフスポイラー部分に続く格好で、ハッチゲートの両脇を美しく飾っているのがリアのコンビネーションライトである。左右のテールライトはハッチゲートに沿って下降したあと、グラスエリアが終わったところで外側に大きく広がってから再び下降を始め、最後は度折れ曲がり、ハッチゲートの内側に向かって進むという複雑な形状。

これだけ大きく長いコンビネーションライトの場合、どこかで分割しないと生産性が極めて低くなるが、だからといって分割すれば灯りの連続性が失われてデザイン性が低下する。

そこで採用されたのが、ハッチゲートの両サイドをストロボパターンとするアイデアだった。こうすれば、コンビネーションライトの分割部分も気にならずに済む。

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