レザーフリーのインテリアとシンプルで扱いやすい操作系
基本的なインテリアデザインはXC40と共通だが、C40の内装材は全モデルでレザーフリーとされた。同様のコンセプトはすでにファッション界で広く採用されているが、その最大の理由は「動物を殺してその皮を剥ぐのはあまりに残酷」という動物愛護の精神に根ざしている。
また、家畜を育てる牧畜業や酪農業は温室効果ガスの排出源となっていることにも関係がある。たとえばレザーの原料として広く用いられる牛は、呼気と一緒にCO2を吐き出すほか、その「ゲップ」にはCO2の倍もの温室効果があるメタンガスが含まれている。
このため、牧畜業や酪農業が排出する温室効果ガスは、人類の営みから生まれる温室効果ガス全体の14%を占めるとの統計もあるほど。こうした観点からボルボは今後発売するBEVは全車レザーフリーとし、地球温暖化防止に貢献する姿勢を示しているのだ。
レザーの代わりに今後ボルボが積極的に採用しようとしているのが、マイクロテックと呼ばれるヌバックによく似た素材。これはペットボトルなどからリサイクルしたもので、環境に優しいうえに軽量なのでBEV航続距離を伸ばす効果も期待できるという。
また、一部ボディカラーと組み合わされるドア内張りのフィヨルドブルーはうっすらとグレーがかった落ち着きのある色調で、C40のキャビンに個性的な彩りを添えている。なお、最終的な量産仕様として日本に持ち込まれたC40は、私が国際試乗会でテストした先行量産モデルに比べて質感が大幅に向上していたこともあわせて報告しておきたい。
操作系はシンプル&イージーの思想を採り入れ、システムを立ち上げるメインスイッチさえ省略された。長年、キーをひねってエンジンを始動させてきた向きは戸惑いを禁じ得ないかもしれないが、慣れてみれば、ひと手間省ける利便性を実感できることだろう。
インフォテインメント系にGoogleアプリ/サービスを採用したのも、同様の思想の延長線上にある。ナビゲーションシステムや各種アプリケーションを、Googleアシスタントという音声操作システムで一括してコントロールするため、操作性は極めて良好。いうまでもなく、シンプルな操作性は安全性の向上にも役立つ。その意味でも、極めてボルボらしい発想といえる。
もちろん、先進安全装備の充実振りは目を見張るばかり。車両だけでなく歩行者やサイクリストまで検知する衝突回避・被害軽減ブレーキを装備するほか、車線維持支援機能を備えたパイロットアシストなどを全車に搭載。そして最新装備として先行車発進告知機能やリア衝突回避・被害軽減ブレーキシステムを追加採用し、さらなる安全性を追求している。
環境問題、安全性、そして優れたデザイン性を兼ね備えたCは、まさにボルボの未来を象徴するモデルといえるだろう。(文:大谷達也/写真:永元秀和)
◎参考:電気自動車購入時の減税と補助金
電気自動車の購入時には、環境負荷の程度に応じた税金の優遇制度や補助金制度が適用される。C40の場合は、「環境性能割」による自動車取得税の減税、「エコカー減税」による自動車重量税の減税、「クリーン化特例」による自動車税の減税、そして国の「クリーンエネルギー自動車・インフラ導入促進補助金」の対象となっている。住んでいる地域によってはこの他に地方公共団体の補助金の対象となる場合も。
【C40リチャージ ツインの場合(車両価格 719万円)】
優遇額合計 90万6400円
(内訳)
環境性能割減税額 17万6400円
自動車重量税減税額 6万1500円
自動車税減税額1万8500円
令和3年度補正予算補助金額 65万円
ボルボ C40リチャージ ラインナップ(2023年モデル)
C40リチャージ アルティメイト ツインモーター:699万円
C40リチャージ プラス シングルモーター:599万円
ボルボ C40リチャージ ツイン 主要諸元(2022年モデル)
●全長×全幅×全高:4440×1875×1595mm
●ホイールベース:2700mm
●車両重量:2160kg
●モーター:交流同期電動機
●モーター最高出力:300kW(408ps)/4350-13900rpm
●モーター最大トルク:660Nm/0-4350rpm
●バッテリー総電力量:78.0kWh
●WLTCモード航続距離:485km
●駆動方式:4WD
●タイヤサイズ:前235/45R20、後255/40R20
●車両価格(税込):719万円