外部充電が可能なプラグインハイブリッドというシステムは、従来型のパワートレーンと今後ますます増えるであろうBEVという完全電動車との関係を、連続的につないでくれるものだ。より力強く、そして電気力を増した新しいシステムが搭載された3モデルを実際に体感した。(Motor Magazine 2022年6月号より)

フラッグシップたるXC90。さらなる余裕を得た力強さ

ここでは、進化した最新リチャージプラグインハイブリッドシステム搭載のV60、XC60、XC90の3モデルに試乗。同社の電動化戦略、電動パワートレーンのメリットなどを考察してみたい。

まずはSUVシリーズのフラッグシップとなる「XC90」だ。新世代ボルボ第一弾のモデルとして登場から7年が経過するが、その先進的デザインは今なお新鮮だ。

画像: XC90リチャージ プラグインハイブリッド T8 AWD インスクリプション。直進安定性の高さと優しい乗り心地、どこまでも走れてしまいそうだ。

XC90リチャージ プラグインハイブリッド T8 AWD インスクリプション。直進安定性の高さと優しい乗り心地、どこまでも走れてしまいそうだ。

駆動用バッテリーの容量が十分にある時は、ほぼモーターのみで走行する。応答性の良さは言うまでもないが、力強さは確実に増した。具体的にはアクセルペダルを踏んだ時に従来モデルでは一瞬の間があったが、新型は「スッ」と即座に動き始めるような印象だ。

右足をさらに踏み込めばエンジンは始動するが、その繋がり方も従来モデルより確実に滑らかだ。車重2340kgのボディを過不足なく走らせる大排気量NAエンジンのように余裕のあるフィーリングは、XC90というモデルのキャラクターともマッチしている。

フットワークは一般道/ワインディングでは大きなボディを持てあますかと思いきや、見切りのいいボディと視界の良さ、さらに心地よい緩さを持ちながら正確性の高いハンドリングなどにより巨体を感じさせない走りを見せる。

ワインディングロードでもそこそこ楽しめるが、やはり得意なのは長距離クルージングだろう。矢のように突き進む直進安定性の高さと当たりの優しい乗り心地、巧みな制御の運転支援システムで、どこまでも走れてしまいそうだ。

ベストセラーの60シリーズ。PHEVでも滑らかで万能

続いては、SUVシリーズの次男坊となるXC60だ。2018年に登場するやいなや、日本カー・オブ・ザ・イヤーをはじめとするカーアワードを総なめ。ボルボの世界販売台数をけん引するエースだ。21年に大幅改良が行われ、フェイスリフトとともに、日本初となるGoogle搭載の「新インフォテイメントシステム」も採用されるなど、利便性も高められた。

画像: XC60リチャージ プラグインハイブリッドT6 AWD インスクリプション。軽快なフットワークが楽しい。

XC60リチャージ プラグインハイブリッドT6 AWD インスクリプション。軽快なフットワークが楽しい。

エンジンの出力はXC90に対して64ps/50Nm低いが、車両重量は2180kgと160kgも軽量のため、力強さと言う意味ではそれほど大きな差は感じない。ただしフィーリングは異なり、ターボらしさが実感できるトルクの盛り上がり(もちろん滑らか)とエンジンの伸び感の良さのほうが光る。エレガントさとスポーティのバランスがいい塩梅の特性だが、そのあたりはベストセラーらしい万能な味付けとも言える。

フットワークはXC90の穏やかで重厚な乗り味に対して、薄皮を一枚剥がしたようなダイレクト感がプラスされ、見た目以上に軽快なフットワークだ。最新モデルは操舵感やサスペンションの動きに落ち着きが増した印象で、よりジェントル、より大人な特性に進化している。街乗り領域での快適性も増しており、パワートレーン同様にボルボのエレガントさがより引き上げられた印象だ。

こちらもとくにアナウンスはないが、より滑らかになったパワートレーン制御で車体の無駄な姿勢変化が抑えられたこと、そしてタイヤ(ミシュラン プライマシー4)とエアサスペンションの熟成効果も大きいと私は予想している。

ステーションワゴンの王道は、あえてサイズダウン

そして最後はステーションワゴンのV60だ。スポーティな走りが魅力だった「スポーツツアラー」の初代V60と「四角いボルボ」を継承していたV70のコンセプトを融合したモデルで、ステーションワゴンの王道とも言える「スポーティで実用的」なキャラクターを持たせたモデルだ。

世代交代ごとに大型化するモデルが多い中、全幅は1850mmとサイズダウン。実はこれ、ボルボの世界販売でトップに入る日本からの強い要望が反映された結果だという。

画像: V60リチャージ プラグインハイブリッド T6 AWD インスクリプション。スポーティな豪快な回転と小気味よいシフトフィールが嬉しい。

V60リチャージ プラグインハイブリッド T6 AWD インスクリプション。スポーティな豪快な回転と小気味よいシフトフィールが嬉しい。

パワートレーンはXC60と同じだが、車両重量はXCより110kg軽量な2070kg。実際に走らせると、同じパワートレーンと思えないくらいの力強さはもちろん、豪快な回転フィールや小気味良いシフトなどスポーツユニットと呼びたくなるくらいの印象だ。

さらにドライブモードをダイナミックにすると、その勢いはさらに増して思わず「オーっ」と声を発してしまうぐらいのパフォーマンス。クルマの軽さもあるが、制御次第で大きく変えられるキャラクターは、電動化パワートレーンの強みのひとつと言える。

フットワークは普通に走っている時は穏やかで質の高い乗り味だが、操作に対するクルマの動きは明らかにレスポンス重視で軽快。初期ロールを抑えたハンドリングは、明確にスポーティさをアピールしたセットアップである。

全高1435mm、全幅1850mmと言うワイド&ローの基本素性を活かした無駄な動きを抑えたフットワークは、先代V60にラインナップされたスペシャルモデル「ポールスター」を思わせる精緻でコントロール性の高いハンドリングを実現している。そういう意味では「ワインディングも走れる」ではなく、「ワインディングを楽しめる」電動車と言っていい。

乗り心地は人によって硬めに感じる人もいると思うが、ガツンと来るのではなくしなやかな硬さなので決して不快ではなく、むしろスッキリとした振動収束性で、19インチタイヤ装着モデルの快適性は非常に高いレベルにある。

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