グランドツーリングの新境地を開く、巧みなダンピング制御
この燃費の良さは、市街地走行時の自動アイドリングストップ機能も一役買っている。フランクフルトの市内を走行していると、頻繁に自動アイドリングストップが働く。ブレーキペダルを緩めていくと、すぐに自動スタートするから自動アイドリングストップが邪魔に感じることはない。これは日本でも役立つだろう。
ただし自動アイドリングストップから再始動するときは、アクセルペダルをいつもより丁寧に踏んだ方がいい。普段よりクラッチの繋ぎ方が急になるからだ。これは初期ロットの広報車だからかもしれない。
走行中とても便利だなと思ったのが、ステアリングスイッチひとつで切り替えられるマルチインフォメーションディスプレイだ。ダッシュボード中央にモニター画面があるが、その子画面の役目も果たす。ナビ画面はノースアップ、ヘディングアップ、3D、さらにそれらの縮尺も変えられる。ナビの行き先案内を矢印表示することもできる。ただしこれは日本仕様では付かないそうだ。その他のオンボードコンピュータのデータ、電話、オーディオ情報、ACC情報などは本国と同じように付くはずだ。
パナメーラターボの大きな美点は長距離ドライブでも疲れないことだろう。市街地走行もアウトバーンでも乗り心地が良いことは4座高級車として合格だ。ダンパーの切り替えスイッチを「コンフォート」にするとゆっくりした揺れになるが、ややダンピングが緩くなりタイヤの重さを感じるから、ボクは「スポーツ」がオールマイティで好きだ。
快適なのはシートの良さも挙げられる。背中をシートバックに付けてハンドルを前に強く押しても、フレームがしっかりしているからシートはビクともしない。適度なサポート感を保ちながら、がっちりと身体を支えてくれるのだ。後席もがっちりと身体を支えてくれるから、4人が同じ状態でドライブができる。
ポルシェはパナメーラで、4シータースポーツカーという新しいジャンルを創ることに成功したようだ。(文:こもだきよし/写真:丸山和敏)
ポルシェ パナメーラ ターボ 主要諸元
●全長×全幅×全高:4970×1931×1418mm
●ホイールベース:2920mm
●車両重量:1970kg
●エンジン:V8DOHCターボ
●排気量:4806cc
●最高出力:368kW(500ps)/6000rpm
●最大トルク:700Nm/2250-4500rpm
●トランスミッション:7速DCT(PDK)
●駆動方式:4WD
●タイヤサイズ:前255/45ZR19、後285/40ZR19
●EU総合燃費:8.2km/L
※EU準拠
※スポーツクロノパッケージ・プラスのオーバーブースト時の最大トルクは770Nm