おすすめのパワーユニットは、走りがいいハイブリッドの「e-BOXER」
パワートレーンは2タイプを設定。1.6Lのコスパも魅力だが、マルチに使うなら2L自然吸気+モーターの「e-BOXER」が本命だ。エンジンが主体でモーターがアシストを行うパラレル方式だが、モーターはどちらかと言えばドライビングファン向上に活用されている。
SIドライブのモードで走りの特性が異なり、「I」は実用域で背中を押してくれるような自然なアシスト、「S」は実用域で電動ターボのような力強さを感じる乗り味を持つ。
フットワークは、最低地上高が200mmあるクルマに乗っている感覚は皆無で、ハンドリングに関しては「目線の高いインプレッサ」だ。過去にフロントクロスメンバー/リアサブフレームの剛性バランスのビルドアップ(2019年に改良)とサスペンションの最適化(2020年に改良)などの熟成が行われた。
その走りはバッテリー搭載による重量増を感じさせない軽快なクルマの動きと、逆に重量増を活かしたシットリした足の動きから来る「芯があるのに優しい乗り心地」が見事にバランスしている。
ただ、そこで終わらないのがXVの凄さで、最低地上高200mmとX-MODEを活用した悪路走破性能はクロカンSUV顔負けの実力だ。このクラスの多くは都市型クロスオーバーだが、それらとは一線を画するレベルなのだ。
XVが属するセグメントのクロスオーバーSUVは各メーカーの実力派が集まる激戦区だが、オンロード/オフロードの走りのバランスは、XVが世界トップレベルの性能だと思っている。
運転支援デバイスも抜かりなしで、アイサイト ツーリングアシストを全車に標準装備。非搭載車に比べて追突事故発生率は84%減少というデータが示す安全性の高さは言うまでもないが、ACCやステアリング支援はまるで上手なドライバーが運転しているかのように滑らかで、違和感のない制御も性能のひとつと言えるだろう。
そろそろ結論に行こう。現行型が登場してから時が経つが、その実力はまったく色褪せていない。新型車が出ると話題はそちらに移るのは当然だが、本当の実力は「デビューから時が経った時にどうか?」だと考えている。
つまり、リアルワールドで生き残るのは「本質」を評価されたクルマであり、XVが今でも安定したセールスを記録している理由は、そういうことなのである。(文:山本シンヤ/写真:井上雅行)
10周年を記念した特別仕様車「スバル XV アドバンス スタイル エディション」
今回試乗に連れ出したのはXVの誕生10周年を記念して用意された、「Advance Style Edition」だ。ダークガンメタリックに塗装された18インチアルミホイール、グレーメタリックに塗装されたフロントグリル、ドアミラーなどを装備。さらにスバルリヤビークルディテクション(後側方軽快支援システム)とフロント&サイドビューモニターも標準装備される。
スバル XV アドバンス スタイルエディション 主要諸元
●全長×全幅×全高:4485×1800×1575mm
●ホイールベース:2670mm
●車両重量:1550kg
●エンジン:水平対向4気筒 DOHC+モーター
●総排気量:1995cc
●最高出力:107kW(145ps)/6000rpm
●最大トルク:188Nm/4000rpm
●モーター最高出力:10kW(13.6ps)
●モーター最大トルク:65Nm
●トランスミッション:CVT(マニュアルモード付リニアトロニック)
●駆動方式:4WD
●燃料・タンク容量:レギュラー・48L
●WLTCモード燃費:15.0km/L
●タイヤサイズ:225/55R18
●車両価格(税込):291万5000円