グランツーリスモを皮切りにフォルゴーレ計画が進行する
そんなマセラティが、短期間でこれほど大きな変貌を遂げた秘密はどこにあったのか?ダヴィデ・グラッソCEOに訊ねてみた。
「私たちは、マセラティのかつての輝きを取り戻したいと願っていました。そのために最初に行ったのが、自分たちを理解することです。率直に言って、ブランドという観点で見たときに妥協があったことは否めません。デザインはこれまでも素晴らしかったと思いますが、イノベーション、クオリティ、コンテンツなどの部分で不十分な側面があったのは事実です。私たちは、それらの改善に取り組んできました」
これに関連して、製品計画の立案などを指揮するフランチェスコ・トノン氏は、次のような見方を提示してくれた。
「電動化が大きなターニングポイントとなりました。たとえばグレカーレであれば、GT、モデナ、トロフェオなどグレードごとに異なるパワートレーンを搭載して差別化を図っていますが、ここに間もなくBEVのフォルゴーレが加わります。さらにはパワートレーン以外の部分でも差別化を図ることで、多彩なモデルラインナップを実現しました」
そう、マセラティは今後、電動化に向けて急速に舵を切ろうとしている。
この計画の頂点に位置するのがBEVのフォルゴーレシリーズで、2023年に誕生するグランツーリスモを皮切りに、同年中にグレカーレとグランカブリオのフォルゴーレが、さらに2025年までにはMC20、次期型クワトロポルテ、次期型レヴァンテにもフォルゴーレが追加され、マセラティの全モデルにBEVが用意されることになるのだ。
ここまで読み進めて、「おや?」と思った読者もいるはず。そう、このフォルゴーレ計画にギブリが含まれていないからだ。
これについては、次期型クアトロポルテを既存のギブリに近いスポーティサルーンとすることで、将来的にセダンを1車種に絞る計画であることが今回の取材で明らかになった。(文:大谷達也/写真:マセラティS.p.A.)