2018年に6世代目として日本へ導入されたフォルクスワーゲン ポロは、Bセグメントのベンチマークとして高い評価を獲得している。そのポロがマイナーチェンジした。新型はどのように進化したのだろうか。本誌執筆陣10人の評価を聞いてみた。(Motor Magazine 2022年8月号より)

速度を上げるにつけ「しなやかさ」が増す乗り味

原点回帰。新しくなったポロに乗って、最初に思い浮かんだ感想がこれだった。原点とは何か。筆者の場合、それは輸入車の魅力を教えてくれたゴルフⅡだ。

外連味のないスタイル、質素なインテリア、硬派なドライブフィール。いずれにもフォルクスワーゲンの哲学が感じられ、日本のクルマとは随分と違ったけれども、否、違ったからこそ大いに引き込まれた。筆者のガイシャ好きはゴルフⅡに始まったわけだ。

新型ポロを駆ると、そんな懐かしいドイツ車フィールを思い出す。スタイルはもとよりシンプルで、真一文字のデイタイムライトが多少派手な程度。インテリアはアナログ機器をすべてなくしたとはいえ、ゴルフより随分と操作性重視で好感が持てる。

画像: 懐かしドイツ車のフィールを感じるポロ。

懐かしドイツ車のフィールを感じるポロ。

ダッシュやドアトリムにはプラスチックシボの色合いに不満を覚えつつ、よく手が触れる場所だけは質感よく仕上げてあって、トータルでみれば嫌な感じはしない。安っぽい部分にできるだけ目を行かせない工夫がある。そして肝心の乗り味はというと、硬質で、速度を上げていくにつれしなやかさを演出する類のもの。これなどはまさしく、ひと昔前のドイツ車イメージそのものだ。

クルマそのものが次第に大きくなり、装備が充実し、高級感は増した。結果的に昔からあるビッグネームは、すべてラグジュアリー路線を突き進んでいる。それは仕方ない。けれどもフォルクスワーゲンのようなジェネラルブランドは、昔のゴルフユーザーのような人たちを裏切ってはいけないわけで、そのためにもポロは存在している。装備も性能も価格も随分と立派になったゴルフを下から支えるベーシックモデルとしてのポロの役割は決して小さくない。

新型は、それをきっちりと果たしたようだ。街中でのちょっと硬派な乗り味こそ、他のベーシックカーとの差別化だと思えば納得もいくし、それを納得できる人だけがドイツ車の世界へとのめり込んでいけることだろう。(文:西川 淳/写真:井上雅行)

画像: モータージャーナリスト西川 淳氏。

モータージャーナリスト西川 淳氏。

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