MINI クーペは、スタイルも走りも楽しいクルマだった【10年ひと昔の新車】

MINI兄弟の中では、最もスポーティな走りを見せた

その走りは、やはり現在のMINI兄弟の中では言うまでもなくいちばんスポーティだ。とはいえ車両重量はハッチバックより、MTで40kg、ATで30kgも重い。だがCd値が下がっているぶん、加速性能が高まっているため、けっこう素速い。実際、データでも歴代MINI中ナンバーワンのスタートダッシュを誇っている。

しかも、この重さがいい方向へ効いていて、ハッチバックよりも安定感が高い。路面からポンポンッと跳ねてしまうようなシーンは、まずない。今回乗ったのはクーパーSだったので、足まわりは少々硬めだったが、高速でのドッシリ感はあきらかに上。ただし、後方視界はあまり良くないので、スピードの出し過ぎにはくれぐれも気をつけたいところだ。

コーナリングでは、重心高が下がっているぶんハンドリングもビシッと決まる。先代のハッチバックよりゴーカート的なフィーリングで、マッドマウスのごとくクルリと向きが変わる感じだ。ただし滑りやすい路面だと、トルクがありすぎて、そこら中でホイールスピンを発生するので要注意。そこそこハイグリップなタイヤだったが、路面にトラクションが余すことなく伝わってくるせいもあるだろう。

クーペのスタイリングは気に入ったけど、ここまでのパワーはいらないというのなら、乗り心地的にもクーパーの方がオススメだ。もちろん速さイチバンのMINIを体感したいなら、JCW（ジョン・クーパー・ワークス）のチョイスで決まりだろう。

■MINI クーパーS クーペ　主要諸元

●全長×全幅×全高：3745×1685×1380mm
●ホイールベース：2465mm
●車両重量：1270kg
●エンジン：直4 DOHCターボ
●総排気量：1598cc
●最高出力：135kW（184ps）／5500rpm
●最大トルク：240Nm（24.5kgm）／1600-5000rpm
●トランスミッション：6速AT
●駆動方式：横置FF
●燃料・タンク容量：プレミアム・50L
●JC08モード燃費：15.4km／L
●タイヤサイズ：195／55R16
●当時の車両価格（税込）：352万円

MINI クーペ9